大抵の場合ねぼすけさん
「…寝てるね」
「そうだなぁ…また見事に立ったままぐっすりだよ…」
紅魔館の塀に一つだけある門。
その門の横によりかかったまま、ぐっすりと女性が眠っていた。
見た目の特徴やら、紅魔館の門番だって事も考えると、この人が紅美鈴で間違いなさそうだ。
「…うーん、起こした方がいいのかね」
「…ん」
「むにゃ…うーん…」
「ちょっとやそっとじゃ起きそうに、ないしなぁ」
クーが背伸びして、頬をつついてみたが、頬が緩んだだけだった。
「…クー、ちょっと…」
「…ん、何…?」
「持ち上げるから、鼻先を尻尾でくすぐってみてくれないか?」
「…やだ。私のお尻にくしゃみがかかるから」
「ああ、そっか…フラーウム、なんか一発で起きそうな方法無いかな」
「うーん…バランスを崩してみたら起きるかも。地面の形をこうやって変えて…」
フラーウムが力を込めると、美鈴さんの立っている地面が傾き…
「…っ!?」
「うわ、顔からいったんだけど…大丈夫かな」
「倒れてる所の地面は柔らかくしてあるから大丈夫だと思うけど…えー…」
「起きないのかよ…」
倒れた事で更に寝顔が安らかになったようにも見えてしまった。
「…ん、起きてー」
寝転がった美鈴さんの頬をぺしぺしと叩いて起こそうとしているクー。
…ん、美鈴さんが動いて…あっ。
「……!?」
「んー…暖かい抱き枕です…」
「…うぅ、動けない…主様助けて…」
しっかりと抱きつかれてしまっている。
どうしたものかと考えていると、サクッと美鈴さんの額にナイフが刺さっていた。
「いたぁぁぁぁい!?」
「あ、起きた…」
「…あうぅぅ!?」
ってクーを抱きしめたまま転がってるし!
「ストップストップ、とりあえず抱きかかえてるのを離してあげて!」
「その必要は無いわよ」
不意に横から聞いたことのある声がして、振り向いた時にはクーを抱きかかえた咲夜さんがそこに居た。




