人食い妖怪もあんまり怖くない
「むぐ、じゃあ来たのは最近なんだ。どうりで見ない顔だと思ったよ」
頬にご飯粒がついたまま、ルーミアはこちらを見ながらそう言った。
まぁ…屋敷から出たの、宴会の時と先日の騒動と…今回で三回目…あ、霊夢の所に行ったの含めて四回かな。
「ほとんど紫様の屋敷で妖怪くらいは撃退できるように訓練してたからね」
「ふーん…で、なんで黄は飛べるのに歩いてたの?」
「飛ぶのに頼ってても危ないと思ったのと…ちゃんと歩いて眺めたかったからかな。記憶が無いからかもしれないけど、見たことない景色ばっかりだし」
「へー…」
「…ご飯粒、ついてる」
「ん、ありがとー。はむっ」
「きゃっ!?」
あーあー、指ごと食べられてるし…。
「…んー、おいし…」
「…あうぅ」
「ルーミア、そのくらいにしといてくれないか?大事な式なんだ」
「はーい…」
クーが、ルーミアをジト目で睨むけど、当の本人は知らん顔で弁当を食べ続けている。こうやって見てると、普通の女の子なんだけどなぁ。
「…それにしても、あんな反応をしたからびっくりだよ。普通、人食い妖怪なんかと一緒にはお昼ご飯食べたりしないよ?」
「あー…なるべくなら戦ったりはしたくないからかなぁ。…スペルの制御がまだ不十分だし」
「ん、そうなんだ。…もし襲ってたらどうした?」
「その時は相手するけど…ま、こうやって友好的に会話するのもいいでしょ?」
「…んー、そうだね。会う時に食べ物くれるなら」
「はは、保存食でも常備しとかなきゃな」
「えー、もっと美味しいのがいいよ」
「はは、そうだなー…ごちそうさまっと」
「ごちそうさまー」
「…ごちそうさまでした」
僕とクー、ルーミアは同時にお昼ご飯を食べ終える。
フラーウムは、別に食べなくても良いそうだ。…精霊ってのは不思議なものだなぁ。そのあたりも調べることになるけど。
「美味しかったよ。…お礼に、湖まで案内してあげる」
「ん、いいの?」
「うん、私もこれから行こうと思ってたからね」
「じゃ、お願いしようかな」
「ふふ、じゃあ着いてきてね」




