弁解くらいさせてほしかった
「…うぅ、まだ痛む…」
「主様、大丈夫?」
「うん、でも…こういう痛みだと回復は発動しないのな…」
クーが額をさすってくれている。
で、この痛みをくれた相手は…
「ほんっとうに申し訳ない!まさかずっと気を失っていたとは…」
「あー、いいんです…意識が回復してからも何日か顔を見せなかったのは事実ですから…だからそれ、やめてください…」
机の向かい側で綺麗な土下座を披露してた。
「心配させちゃったのは本当に悪いと思ってますし…」
「…うぅ、すまない…また早とちりをしてしまって…」
「だから、土下座をやめてくださいよ…」
「…わ、わかった…」
ああ、やっと普通に座ってくれたよ。…いろんな意味で頭が固いみたいだ。
「それで、用事とは…?」
「ああ、そうだったな…これを渡しておこうと思って。人里の脅威を退けてくれた報酬だ」
小さめの袋を渡された。中からは金属の音がする。
「人里で使われている通貨だ。少ないかもしれないが…」
「いえいえ…というか、あのままにしてたらいろんな意味で危なかったと思いますから」
「…そうだな、確かに…君が遭遇した異形の獣、気になるな。…阿求殿の所にも確かめに行ったのだが、過去の幻想郷縁起にも記されていなかった」
「…あれ、たぶん僕にしか処理できないんです」
僕が持つ武器で喰い、閉じ込めて浄化する。おそらくそれしか手はなさそうだし…
「なるほど…」
「だから、遠くからの足止めならいいんですけど、絶対に近づいたりはしないでください。近づく前に瘴気でやられます」
「わかった、自警団の者にも伝えておこう。…幻想郷内全てに知らせた方がいいか?」
「あぁ、そのあたりは紫様達が伝えるみたいなんで」
「ふむ、そうだったのか…ところで、その隣の子は式神…なのか?」
「ああ、はい。あのボス狼ですよ」
「クーです。…よろしく」
クーが小さくお辞儀をすると、慧音さんは驚いた顔になっていた。
「…面影が全然…いや、毛並みは確かにそうだな…」
「…えへへ、褒められた」
「良かったな」
「ねー、僕の事も忘れないでねー!」
「っと、そうだったな。こっちは…現場で見つけた妖精のフラーウム。…懐かれてしまって」
「…なかなかに規格外な状態になってるな」
「そうですねー…」




