命名
「…うーん、名前ねぇ…」
名前ってものは、その後ずっとそうやってこいつが呼ばれるって事になる。変な名前は付けられないよなぁ…
悩みつつ、銀色の毛並みをもふっていたら…じっとこちらを見ていた。
目も銀色なんだな…なんか、月みたいだ。
「…あ、紫様。辞書とかあります?」
「何か思いついたの?」
「ええ。…できれば同じ意味で違う言葉が載ってるやつがいいです」
「…たしか、外国語が沢山載ってた辞書があったわね。少し待ってて」
紫様がスキマに手を突っ込んで数秒後に、ものすごい厚さの辞書が出てきた。…調べるの大変そうだなぁ。
「…うん、とりあえずこれでいいかしら」
「ありがとうございます。…さてと」
月…あった。…うわ、こんなにいろいろあるのか…
「…響きが可愛い方がいいよなぁ。…あ、これがいいかな」
見つけた言葉を、短冊へと記す。
「…さてと、準備はいいか?」
狼は頷き、口を大きく開けた。
魔力の流れをしっかり作り、身体の中心まで持っていく。そして、短冊から手を離すと…自然に短冊は体内へと消えて…身体が変化し始める。
「うわっ!?」
「式神としての変化が始まったな。数分と経たないうちに変化し終わるよ」
獣の姿が少しずつ人型へと変化していく。
光が収まり、そこには銀髪で狼の耳をもった女性が立っていた。
「…黄様、ありがとうございます。これからずっと、貴方に仕えさせていただきます…」
「…よろしくね、クー」
精霊やら、出てくる式神は由来を外国語へと変えて出すつもり。フラーウムはラテン語で「黄」、クーはフィンランド語で「月」といった感じになります。




