式となるもの
「精霊に詳しい人って居ますかね…」
「…適任なのが紅魔館に居るわ。でもそれより…貴方にはやることがまだ残ってるでしょ?」
ん…ああ、そうだった。式神の事か。
「あの狼はどこに?」
「ボス狼はこちらに連れて来ているよ。他の狼は元の縄張りに戻してある」
「ボスが居なくて大丈夫なんですか?」
「あの群れはもう治療済みだし…あそこまでのイレギュラーが起こらない限りは大丈夫さ」
「なら良かった…」
庭に出てみると、狼の上で橙が存分にその背中をもふっていた。
「ああ、橙…」
藍様がなぜか泣きそうなので、とりあえずまずは橙を藍様の尻尾に戻しておこう。
「橙、ちょっといいかな」
「はふー…あ、黄。もう大丈夫なの?」
「ああ、むしろ…調子は前よりもいいかな」
「えへへ、良かった。すごくあったかいんだよー…」
「ん、そうか。でも…藍様が泣きそうになってるし、今からこいつを僕の式神にするんだ。だからちょっと…ね」
「…もう、藍様はー…」
ちょっとだけ嬉しそうにしながら、橙は藍様の尻尾の中へと飛び込んでいった。…ああ、藍様がめっちゃ嬉しそうにしてる。
「…ふふ。では、式神の定着のさせ方を教えようか」




