表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方黄明譚  作者: k.Yakumo
6章 幻想郷探査
56/319

浄喰『聖域の顎』

薙ぎ払いを繰り返しながらこちらへと突進してくる。

届きそうになった腕を避け、武器の先を向ける。


「…この、武器で…」


構えながら、狙いをしっかりと定める。

と、熊はいきなり咆哮をあげ…魔力を放出し始めた。

周りの瘴気が一気に濃くなる。


「ぐっ…急がないと…!」


構えたまま、一気に近づく。

そして、スペルを発動。


「浄喰『聖域の顎』!」


武器の境目が、バキバキと音を立てて変形していく。

上顎が白、下顎が黒の龍の首が出来上がり、熊に対して牙を突き立てた。

熊は、その太い六本の腕で必死に抵抗するが、浄化の力は触れている部分からすぐに始まり…腕は触れた部分から砂へと変わっていく。

力の均衡が失われて、顎は一気に閉じられた。

熊が完全に龍の顎に封じられ、周辺の瘴気が嘘のように引いていく。


「成功、か…っ!?」


武器の持ち手部分から、熊の瘴気が僕に向かって流れ込んできた。…あいつ、抵抗してやがる!


「ぐ、っ…乗っ取らせてたまるか…おとなしく、してろっ!」


腕が、浅黒く変色していく。侵食、されている…!


「…っ、ぁぁぁぁぁあ!!」


こちらも、力を流し込んで…僕の力で、抑え込まなければ!

持てる力を、武器の中へ押し込むように、力を流す。

変色した腕が元通りになっていく。


「…っ、はぁ、はぁ…」


どれだけ経っただろうか。ようやく、あの熊の存在を武器の内側から感じなくなった。そして、別の何かの存在を感じる。

武器が再び裂け、中から転がったのは小さな玉だった。綺麗な黄色だ。


「…なんだ、これ…っ、う…」


拾い上げた所で、目眩がしてその場に倒れこむ。

ぼやける目が捉えたのは、銀色の大きな狼と、それに乗る心配そうな藍様の姿が最後だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ