これを倒すには
また、三本の腕がこちらに迫ってくる。
今度は、少しずつタイミングがずれてるみたいだ。
「っと、危ないな…その爪は折らせてもらおうか!」
爪はそれぞれの腕に四本生えている。
振り切って伸びた腕の先、爪の根元を力を込めて殴ると、爪が折れて…熊の悲鳴ともとれる叫び声が響いた。
「うるっさ…!?」
折ったはずの爪が再生している。砕けた爪は…砂のように風化していた。
「超再生持ちかよ…腕とか切り落としてもまた生えてきそうだ」
籠手の一部を変化させて、刃を作る。
狙いは首だ!
「ガァァァァッ!!」
「そんな大振りの攻撃、当たらないよ…っ!」
三度目の振り下ろしに違和感を感じ、すぐに離れた。
爪に、明らかに何かの力が宿っている。
それは、吐き気をもよおすほどに禍々しい。
「なんだよ、あれ…見たことないぞ…」
宴会の時に、妖力だとか神力だとか…そういうのはだいたい見たし、区別もつく。
しかし、目の前の敵が持つそれは、どれにも当てはまらず、ましてや僕が持つ力とも違う。
「…あまりに危険だ、奴の力を全て消さないと危ない気がする」
…不意に、頭に何かが浮かぶ。武器がいつの間にか、剣とも棍棒とも区別しがたい、一番最初に見た時の形に戻っていた。
「…なんだ、これ。…あいつの消し方を、僕は知ってる…?」
…牙を向いて、敵対する眼前の熊を、知っている。
…あいつを、喰わないと。




