スペル、発動
いつの間にやら、50部です。
里とそうでない場所を隔てる柵が壊され、狼のような獣が十匹ほどそこで唸りながら人里を睨んでいる。
「状況は!?」
「なんとかここで食い止めていますが…まだ後ろに十数匹居るようです。それと…どうやら群れの長が居るみたいです」
「くそ、数がなかなか多い…この状況では里を隠す事も出来ないし…」
状況はあまり良くないらしい。
「…慧音さん、今ここに来ている獣をお願いできますか?僕が上から回り込んで、控えている獣達を叩きます」
「しかし、大丈夫か?…相手は君を喰うつもりで襲ってくるぞ」
「…大丈夫です。じゃ、行きます!」
「あっ…まったく、無鉄砲な…」
「慧音。たぶん…あいつは大丈夫だ。だから、私たちが任されたこちらをどうにかしよう」
「…そうだな」
気配を辿ると、里から少し離れた場所に複数の気配を感じ…その中に大きな一つが囲まれているのを感じた。おそらく、ボスだろう。
「…一気に、減らそうか。囲まれるのは嫌だからな」
武器が出てから、考えていたものの一つを試してみよう。スペルカードを取り出して…武器を構える。
形状は、スペル発動の瞬間に変形するはずだ。
…イメージするのは、強力な太陽光の奔流。
収束しながら、敵に突っ込むように…。
「…光砲『サンライトバスター』!」
手にした武器が、真ん中からガパッと開き、エネルギーが収束していく。
数瞬のうちに、充填が完了し…光の柱となって狼達の群れへと放たれた。




