寺子屋でお話
「すいません、ありがとうございました」
「いえいえ。ではまた」
阿求さんの屋敷まで本を運んで、別れた後に気づいた。
…寺子屋の場所知らない。
うーん…人里の中にあるんだったよな。聞けばわかるか…!?
「あいたっ」
「っとと、大丈夫?」
「おう、へーきだぞ。…あれ、兄ちゃんどっかで見たような…」
…こんな小さな子の知り合いは居ないはず。
「ん、最近来たばかりだが…」
「あー、じゃあ父ちゃんが見てた新聞に載ってたのは兄ちゃんだったのか」
「新聞で見てたのか。…あ、そうだ。寺子屋の場所を教えてほしいんだけど知ってる?」
「おう!俺も通ってるからなー。この道を真っ直ぐ行って…」
ふむ、ちょうど良かった。寺子屋の場所を知ってる人が向こうからくるなんて。
「うん、ありがとう。ぶつからないように気をつけてね」
「兄ちゃんもなー!」
寺子屋の子供と別れ、教えてもらった方向へ進む。
しばらく歩くと、子供が言った通りの建物が見えてきた。
「ここかな。…すいませーん」
「はいはい、誰かな…って、黄じゃないか」
「先日はどうも」
「もう体調は大丈夫なのか?君も酔い潰れたみたいだが…」
「あー…確か、一番強いお酒を飲まされたんですよ。それで…」
「そうだったか。…まぁ、問題無さそうなら良かった。で、今日はまた何故ここに?」
「幻想郷を知るには、自分でいろいろ見ていくのが一番いいかと思いまして」
「ふふ、そうか。いい心がけだな。君も戦いに関してはお墨付きだったしな」
「まだまだ学ぶ事は多いですよ。…あ、そうだ。寺子屋ではどんな事を教えたりしているんですか?」
「読み書きや算術の基礎だな。…なかなかやりがいがあるんだ」
そう言って、慧音さんは柔らかく笑みを浮かべた。
「あれ、慧音と…確か、黄だったか?」
「あ、妹紅さん」
後ろから声がして、振り向くと妹紅さんが籠を背負ってそこに居た。籠の中は筍がいっぱいになっている。
「ん、妹紅か。…いつもありがとうな」
「いっぱい取れるからお裾分けだっていつも言ってるでしょ」
籠から三つほど筍を取り出し、慧音さんに渡している。
…確か、妹紅さんは竹林に住んでるんだったっけ。
「…黄、宴会の時は挨拶出来なくてごめんね。…これ、あげるからさ」
「え、いいんですか?」
「ああ。…なんとなく、お前とは長い付き合いになりそうだしな」
「そうですか?」
「なんとなく、だけどな」
筍を持ったまま談笑していると、いきなり鐘の音が響いた。
物見櫓の上で、男の人が必死に鐘を叩いている。
「…!!」
「な、なんですか!?」
「人里の中に害をなす妖怪か何かが入って来たみたいだ。妹紅、手伝ってくれ!」
「わかってる!」
「僕も行きます!」




