勝てなかったよ
「…うぅ、頭痛い…」
目が覚めた時、まだ周辺は暗かった。
倒れてからあまり時間は経っていないようだ。
「気がついたか、黄」
「…藍様…?」
「とりあえず身体を起こせるか?水を持ってくるから」
「はい…お願いします」
…あぁ、フラフラする。
「いきなり強いのを飲まされるなんて、災難だったわね」
「永琳さん…うっぷ」
「我慢してね、吐くと食道を傷つけるわ」
吐き気を我慢して、藍様が来るのを待つ。
「はい、水だ」
「これも一緒に飲んで。いくらかは楽になるから」
永琳さんからもらった錠剤を一緒に流し込むと、頭の痛みがかなり引いた。
「ありがとうございます…」
「ま、少し横になっていなさい。…紫様がずっと心配していたから…呼んでくるよ」
藍様が部屋から出た瞬間、紫様がすぐに入ってきた。
「うわっ」
「大丈夫だった?」
「ええ、なんとか…心配をかけました」
「…はぁ、もう…」
呆れ顔で見つめてくる。…うーん…
「…あう」
「黄?」
「酔っ払いに効く薬をあげたのよ。副作用で眠くなってるみたい」
「…そう。じゃあ連れて帰るわね」
ふわりと浮いているような感じがする。
どうやら、持ち上げられているらしい。
「…私の大事な従者になるんだから、潰されると困るわ」
そんな呟きが、聞こえた気がした。




