酔い潰れた者たち
幽々子さん…いや、幽々子様と付けたほうがいいのか。
別れた後に、ぐったりと倒れ伏した白黒を発見する。
「…言わんこっちゃない」
「…うぅ」
明らかに飲み過ぎだ。
とりあえずここに寝かせておくのはいけないか…。
肩を貸すようにして抱え、何処かで休ませようとした所で…兎耳の女の子がこちらに手招きしている。
どうやらこっちに運んでこいということらしい。
「…よっと」
「あー、完全に潰れてますね…こっちの部屋に運んでください」
「はいよ」
部屋の中に運ぶと、既に寝かされている人が二人。
白く長い髪の女性と、黒くこちらも長い髪の子だ。
白髪少女の傍らには、特徴的な帽子をかぶった女性。
黒髪少女の傍らには、赤と青で半分に区切られた服を着た女性が座っていた。
「こっちの布団に寝かせてください」
「あ、はい」
「…まったく、毎回毎回潰れて…」
赤青の女性は呆れ顔で魔理沙を見ている。…ん、というか…この部屋にいる人たち、皆幻想郷縁起に載ってたような。
「しかも、主賓に運ばせるなんてね。…ああ、自己紹介がまだだったわね。八意永琳、永遠亭で薬師をしているわ」
「私は、鈴仙・優曇華院・イナバです」
「ああ…よろしくお願いします」
「ん、今の反応だと知ってたって感じだけど」
「紫様から住人の予習くらいはしておけと言われまして」
「へえ。じゃあこっちに寝てる二人と、彼女の名前も分かるかしら?」
「…ええと、そこで看病してるのが上白沢慧音さん、看病されてるのが藤原妹紅さんで…そっちに寝てるのが蓬莱山輝夜さん…ですよね」
「ん、正解よ。…どうしてこうなってるか、分かる?」
…確か、あの本によれば…輝夜さんと妹紅さんはとても仲が悪く、すぐに争いになるとか。…ってことは…
「…どっちが多く飲めるか争って、潰れたと」
「ふふ、正解よ。まったく、看病する側にもなってほしいわね」
苦笑いを浮かべるしかなかった。




