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東方黄明譚  作者: k.Yakumo
30章 それは新たな異変の始まりか
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山に似つかわしくない機獣と金属の迷宮

「……おいおい、前に入った時と全然違うな。以前は枯れ木だらけの森みたいな……そんな感じだったんだが」

「……似ている」


クロウさんが、ボソッと呟く。


「ん、またお前が攻略した方に近いのか。なら対策は……」

「一応立てられるはずだが……その割には、生物の気配が全然していない。近くには居ないな」

「……あの、話が全然見えないんで説明してくれますか?」

「ああ、すまない。俺とクロウは、それぞれ別々のパーティーを組んで、別の迷宮を攻略した事があるんだ。俺が北の迷宮で……」

「……俺が、東にあった迷宮だ。他にも南と西にあるんだが、それぞれ世界樹の迷宮と呼ばれていた」

「一つの世界に、そんなに!?」

「その辺りの事情は、今度ゆっくり話すとするよ。問題は……」

「東の世界樹とは別に、近くに古代の遺跡があってな。……俺のパーティーには、そこで眠り続けていた……俺らからすれば古代人にあたる女の子が居たんだ。ここは、その遺跡に似ている」

「……金属製の壁に、機械の駆動音がする……うーん……」


僕が幻想郷に来る前の光景を、少しだけ思い出した。

割とそれに近いような気がする。


「……音が近づいてるんだけど、どうする?」

「遭遇してみない事には、どうなるかわからん。緊張を保ちつつ、進もう」


クロウの言葉に頷いて、進んでいく。


「……来たぞ!」

「機械型の獣!?」


四足歩行の、犬型の機械……ロボット、というべきか。目が赤く光り、駆動音が激しくなる。


「ふんっ!…手応えがないのう」

「……ふふ、脆いわね」

「おいおい、俺たちの出番が無くなったぞ?」


スキマから飛び出した標識と、扇を振って飛ばした風の刃が、粉砕して微塵切りにする。…この二人だけでいい気がしてきたんだけど。


「こういう、金属っぽいのは外界の大きな建物だけで十分。さっさと出たいのよ」

「いや、それは分かるんですけど…」

「貴方達がやっても同じだったはずよ。機械だからパターン化した動きだろうし、雑魚妖怪よりも手応えがないわ」

「…確かに、そうかもな」


そう、話をしていると…クロウさんが床をガツンガツンと槍の石突きで突いている。


「反響音からして、下の階層は無さそうだ。…さてと」


鞄を漁って、髪とペンを取り出すクロウさん。サラサラと今までの道を描いていく。


「迷宮は地図が大事だ。描きながら進まないと戻れなくなる恐れがある」

「私や黄がいれば、入り口まではすぐ戻れるけどね。…あら?」

「どうしました?」

「…スキマの大きさが制限されてるのよ。さっきの標識を出した程度しか開けないわ」

「…僕もです。これは、正確に地図を描く必要がありそうですね」


一筋縄ではいかないようだ。敵が弱いとはいえ、気を引き締めていかなければ。

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