閑話 誰のもの?
二話同時。
「ところで…元日の宴会の時…というか、クリスマスに起こされたあたりから疑問に思っていたのだけれど」
「はい、なんですか?」
「…藍、いつの間にか黄と距離が近くなってるわよね?」
ギクリ、という擬音がピッタリな表情の変化だった。
「な、何を言ってるんですか紫様!黄と私は…その…」
「あー、えーと…紫様、近づいたのは僕の方からというか…」
「…なんですって?」
今度は紫様が青ざめ…って泣きそうな顔になってる!?
「…そう、そっか…私なんかより、藍の方がいいわよね…そうよね…」
「…違いますよ、紫様が眠っていて、その…僕も藍様も寂しかったというか…」
「…そ、そうなの?」
「そうですよ…ねえ、藍様?」
「え?あ、ああ…そうですよ、紫様」
「藍は感情がこもってない」
「きゃぁぁぁ!?」
問答無用で藍様はスキマに落とされた。…またあの罰か?
「まぁ…遅かれ早かれこうなりそうな気はしていたけど。藍、貴方が来てから少しずつ嬉しそうになってたから」
「あ、そうなんですか?…そっかぁ、藍様が…」
「…私が眠ってて藍が寂しがってるのも、知らない訳ではなかったしね」
「…だったら藍様を出してあげてください、可哀想です」
「嫌よ、私に許可なく手を出したんだもの」
「…出さないと紫様とは眠ってあげません、藍様のとこにいきます」
「ちょっ…それはずるいわよもう!」
直後に隙間から出された藍様は、それはそれは大変な事になっていた。
「…うぅ…寸前で出されるなんて…」
「うわぁ、事後より酷い」
「黄が出せって言ったんだからね?」
「…意地悪…」
「いや、なんか誤解されてるし…」
◆
「…そう、だったのか。誤解するところだった…」
「誤解が解けたならそれはいいんですが…なんですかこの状況。幸せすぎる」
とりあえず落ち着いた藍様に事情を説明したのはいいのだが。
何故僕は紫様と藍様に挟まれてお布団に入ってるのでしょう?しかも抱きつかれて…両腕が幸せすぎる。
「私が再び冬眠に入る寸前まではこの状態で寝るからね」
「わぁ…幸せすぎる…」
「…正直だな、ふふ」
「美人二人と添い寝で幸せじゃないはずがないですから…」
そう言うと、二人とも微笑んでいた。…ああもう可愛いな…
「…では、紫様。改めて…私も、黄と…」
「…ん、いいわよ。添い寝とかはちゃんと交代でね?」
「ええ…」
「あと、私の冬眠中は存分に黄と、貴女自身を癒すこと、わかったわね?」
「…はい!」
「ふふ、それならよろしい…あら、黄?」
「幸せ過ぎて爆発するかもしれない…」
「あら、じゃあ…」
「私たちで、止めないと…ですね、ふふ」
そう言うと、二人は更に密着して…ああもう、これ以上は言えない!
明けました。
今年もよろしくお願いします。




