輝針城:もふもふと小人
「可愛い…」
「なんだこれはー…もふもふ…もふもふに、囲まれてる…」
治療した小人…少名針妙丸は事情聴取の疲れを癒すためにクーと戯れていた。
クーは針妙丸の頭を優しく撫でて…針妙丸はクーの尻尾を全身で堪能していた。
「霊夢の方は大丈夫かなぁ」
「霊夢から逃げられるとは思えないが…」
「悪知恵が働きそうだから、なんとかしてにげそうなんですよね…」
「…主様、あの…」
「ん、どうした?」
「…この子、家に住ませてあげたい…」
「…さすがにそれはなぁ…今から霊夢の所に連れて行こうと思ってたんだけど」
「……」
ああ、しゅんとしてる…可哀想だけど、霊夢と話して決めたことなんだよ…
「博麗神社に行けば会えるし…クーがいろんな所に連れて行くことには賛成だから、遊びに行く前に寄って連れて行ってあげなさいな」
「…うん、わかった…」
「クーだったね、よろしくね!」
「…うん!」
◆
それから数日後、鬼人正邪が逃走したという知らせが入った。
「…まさか、札の効力を逆さにされるとは思ってなかったわ。油断してた…」
「…ま、仕方ないか。…彼女一人の力ではどうすることもできないだろうし…放置でも良さそうだけどな」
「…紫に何を言われても知らないわよ」
「ん、先に言ってあるよ。紫様も了承済み。…次何かやろうとしたら、容赦はしないって言ってたけど」
「へー…って、もう起きてるの!?」
「つい先日ね。まだ一日おきだけど…そのうち神社にも連れて行くから」
「ええ、分かったわ」
…霊夢も嬉しそうだな。それもそうか…一つの季節の間、僕が報告をしているとはいえ、実際に会えないとなると心配だろうし。
「じゃ、紫が起きたらこっそり宴会でもしましょうか」
「それはいいね…僕もこっそり準備しておくよ」
「任せるわね」
…さあ、春がもうすぐ訪れる。




