輝針城:琴と琵琶と太鼓と世界樹
「…うっわー…何これ。嵐…か？」
霊夢はこの中に飛び込んでいったみたいだな。…この先に逆さの城があるのか。
「とりあえず影響を受けないように…障壁を張ってと。中の妖怪とかの反応は…近くに二つ、離れた場所に一つ、その奥に二つ。…奥に近づいてる一つは霊夢か。今回はなかなか速いな」
となると、近くの二つは既に退治された後ってことか。
とりあえず向かってみよう。
◆
「…どうしようか、このままだと私たち…」
「…普通の楽器に、戻ってしまうわね…」
嵐の中を、反応を頼りに進み…そこにたどり着いた。
姉妹…だろうか、雰囲気が似ている。
「…えーと、すいません。この辺りに博麗の巫女が来ませんでしたか？」
「ごめんなさい、今それどころでは…って」
「あなた、何者…？あなたもあの城を目指しているの？」
「んー…最終的にはそうなるかと。僕の仕事は異変でやられた妖怪のアフターケアなんでね」
「アフターケア…！？だったら、私達も助けられるの！？」
「お願いします、どうか…私達が今後も動いていられるように！」
「お、落ち着いて…まずは話を聞かせてくれるか？」
「…ええ、分かったわ…」
◆
目の前に居る二人…九十九八橋も九十九弁々は付喪神だという。あの城から出る力をもとに、自由に動けるようになったようだ。
「…なるほどね、異変が解決したら君たちはもう動けなくなるかもしれない、と…」
「どうにか、ならないでしょうか…」
「…あまり前例が無いようにも思えるから、返事は難しいかな…」
「そんな…」
「…ん、ちょっと待って。雷の音に混じって何か…」
…太鼓の音に近いなと思っていると、段々と近づいてくる。…魔理沙達の魔力ではないし…妖力か？
「…そこだっ」
「うわっ！？」
空気の塊で作った手で、妖力の出処を掴む。…やっぱり誰かいた。そのまま引き寄せると…
「…びっくりした…いきなり何かに掴まれたと思ったら、何これ…どうなってるの？」
「…？」
捕まえた彼女には、力が送り込まれているような感じは見受けられない。…強い妖怪なのか？
「君が捕まえたのか…何もする気はないから、離してくれないかな？」
「あぁ、ごめん。…君は？」
「私かい？堀川雷鼓、太鼓の付喪神だよ」
「付喪神、ねぇ。…その割には…」
「ああ、あの力に頼ると操られると思ったから…ちょっとね。…そっちの二人は？」
「君と同じ付喪神だ。…君は操られずに自由にできる方法を知っているみたいだね」
「…えっ？」
「まぁね…ちょうどよかった、そういう方法を他の付喪神にも教えて回ろうと思っていた所だったんだ」
「なるほど…頼んでもいいかな？」
「ええ、じゃあ…二人、こっちに」
「は、はい！」
九十九姉妹は、雷鼓さんについていく。その目には希望が宿っていた。
「じゃあ、お願いしますね」
「ええ、任せて」
…じゃ、霊夢を追いかけるとしますか。
