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ようこそ、屋敷へ
「…ぁぁぁぁああああ!?」
「ん、騒がないの。こうすれば落ち着くかしら?」
自由落下に絶叫する自分を、女性は抱きとめた、というかこれは…
「お姫様抱っこ、ね。…逆なら良かったのだけれど」
「…なんというか、恥ずかしいです」
「もう少しで着くから我慢しなさいな。…よっと」
女性はふわりと減速し、着地した。
ゆっくりと、下ろされる。
「…ここは?」
「私の家よ。ま、上がって頂戴な」
玄関から入り、靴を揃えると女性は可愛らしい仕草で奥に入るよう促してくる。…逆らうという選択肢は、無いだろう。
「…お邪魔します」
「ええ、どうぞ。…藍、戻ったわよ。お茶を二人分淹れて頂戴」
「かしこまりました、紫様」
奥から別の女性の声が響く。
「…ああ、そうだった。自己紹介がまだだったわね。私は八雲紫、よろしく。…それと、幻想郷へようこそ。歓迎するわ」