その後の妹紅さん
「…えっ、ここに住めって…」
「ふふふ、私が準備していた家に、黄がいろいろと加工をしてくれたんだ」
「防火加工とか、まぁその他諸々とね…」
「…けど、私が人里に居たら…」
慧音さんが妹紅さんを連れてきたのだが、妹紅さんは浮かない顔をしている。
「……」
「妹紅さん?」
「…妹紅、平気なのはさっき人里でいろんな人から言われて分かっただろう?」
「…それでも怖いんだ、私は化け物扱いされるんじゃないかって」
…ああ、妹紅さんが不死である事を何か言われるんじゃないかって思っているのか。
「大丈夫ですよ、僕だって似たようなものになってますし…」
「お前は…妖怪の賢者の右腕みたいなものだからだろう?私は…」
「はい、ストップ。…卑屈になるのもその辺にしとかないと慧音さんの頭突きが飛んでくるよ?」
「……」
…まぁ、仕方ないか。それこそ何百年とその悩みを抱えてきたんだから。
「…妹紅、大丈夫だ。私がついてるから」
「慧音…でも…」
「でも、じゃない。最初から結果がそうなるって誰が決めたんだ?やってみなきゃわからないだろう?」
「…分かるさ、何度も同じように虐げられてきたんだから」
「…妹紅」
「しつこいぞ…っ!?」
慧音さんは素早い動きで妹紅さんの頭を掴み、頭突きを…今までに無いような頭突きをした。音が人里の向こうまで響いただろうな…
「うぐ、おぉぉぉぉ…」
「…全く、妹紅も頑固だな」
「…慧音ほどじゃないと思う…うぐぐ…」
「…ん、痛いの治そうか?」
「いや、いい…」
うずくまる妹紅さんにクーが駆け寄り、治療魔法をかけようとしたが…断った。
「…分かった、分かったよ…とりあえずここに住むから…」
「ああ、そうしなさい」
「何か不具合なんかがあったら、僕に言ってください。すぐに直しますから」
「…分かった…」
◆
とりあえず、家具を運び込んで一服していると、レティさんが来た。
「こんにちは。…あなたがここに住むのね?」
「そうだけど…って、あんた…」
「ふふ、これからお隣さんよ。よろしくね」
「あ、ああ…」
「…可愛い子ね、ふふ」
「うわっ!?」
レティさんは妹紅さんの後ろに回って、撫でていた。いつの間に…
「髪もサラサラねぇ…ふふふ」
「や、やめてよ…いきなり…」
「あら、照れてるの?」
「…妹紅が照れるなんて貴重だな、ふふ」
「う、うぅ…」
…ああ、今後レティさんに振り回される未来が見えるな。
◆
その後の妹紅さんなのだが、寺子屋の子供達の世話をしたり、困っている人を助けたりなど結構順応しているらしい。
「…でもレティには困っているようだな。世話焼きすぎて」
「へぇ…でも、ちゃんと生活出来てるようで何よりです」
「ああ。…この前な、こうなるならもっと早くこっちに来ればよかったな、なんて呟いていたよ」
「…それは…ふふ」
「…妹紅お姉ちゃん、楽しそうで良かったね」
「ああ、そうだな…」




