妹紅さん、家を無くす。
「…あちゃー…これまたすっかり燃え尽きてるな。どうしたのさ」
「…火の不始末、だよ。…ああ、どうしようかな…」
迷いの竹林、人里方面から入ってすぐのあたり。
妹紅さんが住んでいた小屋が火事で全焼していた。
「本当に不始末なんですか…?燃え方尋常じゃないような…」
「…ほ、本当だから」
「目が泳いでますけど」
「…うぅ…」
…おそらく、輝夜さんあたりがおちょくりに来てついカッとなって、だろうな。
「…主様」
「お、クーか。…どうだった?」
「…ん、主様の予想通り。…永琳お姉ちゃんが輝夜お姉ちゃんに今お仕置きしてる」
「…ん、了解」
「…仕方ない、また少しの間慧音の所で世話になろう…」
「また、って事は以前にもやったんですか?」
「…うん。ここも雪が降るから、屋根に乗った雪を下ろそうとしたら屋根がぬけてそのまま全部雪に埋もれたりとか…後は、輝夜とやりあってる時に知らないうちに移動しちゃってて流れ弾で火事になったりとか」
「えー…」
「とりあえず、今日は慧音の所に行くから…」
「あ、僕も行きますよ」
「…私も」
「…ありがとう」
◆
「おぉぉぉぉぉぅ…」
「まったく、またやったのか!」
慧音さんを訪ねた妹紅さんが最初にもらったのは慧音さんの頭突きだった。…相変わらずすごい音だったな…
「すまんな、二人とも…わざわざ来てもらって」
「いえいえ」
「…妹紅も変な意地をはらずに人里に住んでくれたらいいのだが…」
不老不死ゆえの問題である。…いつか化け物扱いされるかもしれないと悩んでいるのは、慧音さんから以前に聞いて知っている。
「…人里に家を準備したら住んでくれるんしゃないですか?」
「それはもうやったんだが…あ、でもやったのは妹紅の家が普通にある時だったな。…今ならチャンスか?」
「…ですね」
「…よし、じゃあ…あ、でも掃除とかしてないからって言われるかも…」
「…それ、引き受けましょうか」
「いいのか?」
「ええ。…最近レティさんが近くに住む事になったんで、もし暴走した場合のストッパーにもなってほしいですからね」
「ああ、見覚えの無い小屋を訪ねたら彼女が出てきたのは君の仕業だったか…」
「…やっぱりまずかったですかね」
「いや、別にいいのだが…相談くらいは欲しかったな、ふふ」
「…け、慧音さん?なぜ僕の顔をしっかり掴んでるんでしょうか…?」
「…ふんっ!」
「んがっ!?」
…ああ、目の前に星が舞っている。魔理沙の弾幕みたいだ…
「…あ、主様!」
「…次からそういう時は私にも一言言うように、分かった?」
「…はい…」




