外界の妖怪を追え
「…わぁ、キラキラしてる…」
「クリスマス、というか外界の冬はこうやってするみたいなんだよね。一応、紫様の家にもあるでしょ?」
「…ん、私と同じくらいの大きさの。…でも、こっちのはすごい…!」
「規模が違うからなー…」
僕とクーは、外界に来ていた。決して遊んでいる訳ではなく、依頼の一環である。
どうしてこのように外界で過ごす事になったのか。それは数日前に遡る。
◆
「…うん?映姫さんからの呼び出しですか?」
「うん、先日来たんだ。読んだら返事が欲しいと」
幻想郷における閻魔、四季映姫さんとは、虚空を介して知り合った。
というか、虚空さんがサボっている死神を探すのを手伝ってそのまま一緒に彼岸まで連れて行ったのが縁の始まりだ。
「…なんですかね、僕を名指しなんて。そんなに厄介な案件、関わりたくないんですけど」
紫様の世話をするのがすっかり日課になったので、あんまり屋敷から離れたくはないんだよね。
「ま、とりあえず話だけは聞いてきたらどうだ?」
「そうしますかね…じゃあ行ってきますよ」
「ああ、気をつけて」
…簡単な依頼だったらいいんだけど。
◆
「すいません、忙しい中呼び出してしまって」
「いえ、大丈夫ですよ。それで、用ってなんですか?」
「…少し込み入った話になります、お茶でも飲みながら話しましょう。こちらへ」
部屋に通され、とりあえず腰掛ける。
「…で、なんですか?」
「…外界の閻魔から、どうも…妖怪の仕業による死人が出ているようなんです」
「…外界で、ですか…それは…」
…少し、まずいか。妖怪が外界で活発になり、その存在が知られてくると…幻想郷の存在もそのうち知られてしまう可能性はないとは言えなくなる。
「…その妖怪を消せ、ってことになるんですかね」
「そこまではしないで大丈夫です。少し懲らしめてやるか、こちらに引き込めば…」
「…なるほどね…」
外界での影響が減ればいいのか。
「…で、外界のどの辺りで出現しているとかそういうのは分かります?」
「はい、そのあたりはちゃんと向こうから情報が来ています。…しかし」
「…?」
「出現する感覚がまちまちなんです。向こうの報道機関ではいわゆる連続通り魔事件として処理されているようですが」
「…ふむ」
長期間に及ぶ可能性もあるな。…けど、放ってはおけないか。
「少し考えさせてください」
「具体的には?」
「紫様の次の補給の時に指示をもらいます。…僕はあくまで紫様の部下ですから」
「分かりました。一応、すぐに出られるように準備はしておいてください」
「はい。…それでは」
◆
「…そんな事が、起きてるのね…ふぁぁ…」
「で、僕に依頼が来たんですよね。…すぐ終わらせる自信はあるんですけど…」
「…黄、少しは息抜きしなさいな。私とずっといるって言ってくれたのは嬉しいけれど、それが貴方の負担になっていたらそれは…」
「そんな、負担だなんて…」
「…いいからいいから。…ほら、もう寝かせて?」
「…分かりました」
紫様の世話が負担になるはずなんて無いのになぁ。…でも、言われてしまった以上は…やるしかないかな。




