幻想郷:永久氷晶を作ろう!
「…で、それを調べにここに来たのね」
「すぐに世界樹の意思に頼るのはあまりしたくないんでな。ここならそういう物の手がかりも見つかりそうだし」
適当な本をペラペラとめくりつつ、パチュリーさんと会話をする。
「…で、どんな物をご所望なの?」
「そうだな…身につけられる程の大きさで、人一人の身体に冷気を閉じ込めておけるようなアイテムかな」
「…なんでそんな物を探しているかは知らないけど、なんか巻き込まれたみたいね」
「そういうもんですからね」
「…ふむ、素材になりそうなアイテムならこっちにたぶん載ってるわ」
「ん、ありがとう」
パチュリーさんが、少し分厚い本を渡してくる。
「…確か、三百ページあたりね」
「ページ数まで覚えてるのか…」
「それ、マジックアイテムの媒体に使う素材の資料なのよ」
「なるほど…ん、これか」
そのページには『永久氷晶』と呼ばれるアイテムが載っていた。
「溶けない氷、確かに媒体としては良さそうだ」
「ん、あったでしょ?」
「うん、ありがとう。…ふむ、大きめの魔石に氷の魔力を詰め込んで作るのか。…ちょうどいいや、頼んだ本人に手伝ってもらうかな。…クー、チルノは一緒にいるかー?」
『…ん、主様。今かくれんぼしてて…」
『あー!見つけた!』
『…むぅ、主様のせいで見つかった…』
「ああ、ごめん…って今の声チルノだったな。ちょうどいいや、遊び終わったら一緒に紅魔館に来てくれるか?」
『…わかった』
「おやつ用意しとくからね」
『…えへへ』
「…黄の式の声はしなかったけど、貴方の声聞いてたらあの九尾とそっくりよね」
「えっ?」
「自分の式に甘い所」
「…反論できない…」
◆
「…まさかデタラメな魔力の注ぎ方で石ころが魔石に変わる所を見るとは思わなかったわよ」
「素材に困ったら言ってくださいね」
「わかったわ。…向こうのスペースを使っていいわよ」
「…ありがとう、パチュリーお姉ちゃん」
「…ごめん、私も人の事言えないわ…今のは反則よ」
クーの不意打ちでパチュリーさんは悶絶しそうになっていた。
「黄、早くー!」
「ああ、今行くよ」
チルノに急き立てられて、魔石を持ってそこに行く。
「さ、レティのために作る物を今から作るよ。チルノ、この石に君が出せる氷の魔力をどんどん入れていくんだ」
「魔力を?…んーと、どうやって?」
「…そうだな…チルノは弾幕勝負の時に、氷を作って飛ばすでしょ?その氷を作る時の力を、氷を作らずに石の中に入れていくんだ」
「…むむ…できてるかな…?」
「ん、上手だ。僕も手伝うから、頑張ろうな」
「おー!」
「…ふふ、私も手伝う」
僕とチルノとクーで、魔力をどんどん注ぎ込んでいく。
(…思ったよりもクーもチルノの魔力持ってるんだな。クーとチルノで必要量の三分の一くらいにはなりそうだ)
「むむ…レティ、待ってろよー…!」
「……っ」
◆
「…疲れたー…」
「…あう」
「よし、完成だ。後はこれを核にして…っと、二人ともちょっと待っててね」
スキマから飴玉を取り出す。魔力回復作用があってとても甘い。
「…ほいほいっと」
「…あまーい!」
「…はふー…」
「…よいしょ、座って休んでな」
「おーう…」
クーとチルノをソファに座らせて、僕は細工用の机に座る。…ここからは僕の仕事だ。




