幻想郷:氷精の願いは
「…うん?見覚えない人が…ってか妖怪か。あの周りだけ冷気がすごい」
雪の降ったある日、幻想郷のパトロールをしていると、湖の近くで雪が多く降っていた。行ってみると、チルノ達が遊んでいるようだが…一際背の高い妖怪が一緒に遊んでいる。
「おう、チルノ。…やっぱり氷の妖精だけあってこの季節は元気だな」
「お、黄!遊びに来たのか?」
「ん、その辺を飛んでただけなんだが…」
「ふふ、初めまして。…貴方がチルノちゃんが言ってた子ね、ふふ」
「…八雲黄、妖怪の賢者の補佐をしています」
「レティ・ホワイトロックよ。よろしくね〜」
ゆるい雰囲気のお姉さんだな。レティさんか…
「今まで見かけなかったのは…」
「私は冬にだけ活動する妖怪なのよ〜」
「……」
ん、チルノがやけに大人しいな。どうしたんだ?
「…黄、ちょっと来て!」
「お、おぉ!?」
「私も〜…」
「レティはそのままそこで待っててー!」
「あら〜、私に内緒の話なのね…」
◆
「黄、お願いがあるんだ!レティを…冬だけじゃなくて、春とか夏とかでも居られるようにしてほしいんだ!」
「…ああ、やっぱりそういうお願いだったか。…んー…」
…これは勝手にやってはいけないような気がするな。幻想郷でのバランスが崩れかねない。
レティさんが何もしていなくても放つ冷気は相当なものだ。…おそらく本人も分かっていて、冬の終わりにどこかに行ってしまうのだろう。…どこかの洞窟あたりにでも篭ってるのかな。
「…まず、レティさん本人に聞いてからかな。チルノ、少し時間をくれるか?」
「やってくれるのか!?」
「…ちょっと、いろいろ話を聞かなきゃならんからな。待っててくれるか?」
「…うん!」




