心綺楼:割とちゃんと後処理
異界から出てみるとすぐ近くが騒がしい。どうやら命蓮寺の中でも何かやっているようだ。
入ってみると…霊夢と聖さんがちょうど戦闘を開始したところ…って、うわっ！流れ弾すごい！？
「こっちこっち…」
「あ、響子ちゃん…すぐ行くよ」
響子ちゃんに連れられた場所には何かバリアのようなものが…なるほど、セーフティゾーンになってるんだね。
「…あの、お姉さん誰？」
「ん、八雲黄だよ」
「…あれ、男の人だったような…」
「えーと…なんやかんやでこの異変中は女性として過ごす事になったんだよね」
「…大変ですね…」
「うん…たぶん、今までの流れから行くと、聖さんを治療した後戦う事になると思うの…」
「えー…」
話している間にも、霊夢と聖さんの戦闘は苛烈になって…って、バリアにヒビ入ってる！
「修復…っ！」
「あわわわ、私に手伝える事は…」
「そこで見てる人たちをこっちに誘導して！バリアが破れても私の後ろにいれば防げるから！」
「は、はい！」
…すでにいろんな所が穴だらけだ。聖さんが肉体強化を施して、三百六十度全方位からの攻撃をしていて、霊夢は捌きつつカウンター気味に札を投げて…それが地面に触れたら何故か爆発した。…なにあれこわい。
「く、ううぅ…」
「ああもうまだるっこいわね！霊符『夢想封印』！」
「くっ、あぁぁぁっ…！？」
ああ、聖さん吹っ飛ばされてる…勝ったのは霊夢か。
「ふー…黄、よね？」
「あ、うん。そうだけど」
「後片付け頼むわね。…今度はあっちか」
「え、ちょっ…もう…」
後に残るのは、ボロボロになった聖さんと、歓声をあげるギャラリー、そしてポカーンとする他なかった私と響子ちゃんだった。
「…響子ちゃん、手伝ってくれる」
「あ、はい」
◆
「ご迷惑をおかけしました…」
「いえいえ、大丈夫ですよ…これも私のお仕事ですから」
いろいろとすっからかんになったらしく、私と勝負…なんて事にはならなかった。…よかった。流石にあんな勝負は出来そうにないからね。
「…しかし、聖さんがあんな風に好戦的になるなんて珍しい…」
「…私も、少し冷静になってみると妙でした。なんというか、高揚させられているような…」
…ふむ、陰で何かがそうさせているのだろうか？
「邪魔するぞ」
「あら、神子さん…またボロボロですね」
「あの巫女にまたやられた…邪魔とか言われて一撃で…」
「…あらあら…」
ぐすん、と半泣きになりつつ聖さんの横に座る神子さん。
「…それで、またどうしてここに」
「幻想郷ではこういう状態を異変、と言うのだったな。…どうやら夜の人里が一番おかしな状態になっているようなんだ」
「…へぇ」
日も傾いてきて、もう少しで夜になろうかという所だ。…今から霊夢に伝えれば、霊夢も体力を回復して万全の状態で元凶を叩けるかもしれない。
「…でも、まだ聖さんの治療は完全に終わってないしなぁ…」
「私はもう大丈夫ですよ…皆も帰ってきたようですから」
入り口の方から、ナズーリンや星さん、一輪さんなどが…ってあれ？
「…こいしちゃん何やってるの？」
「んー？お姉さん誰？」
「あぁ、そっからだよね…うん…他の人に後で聞いて」
「はーい」
「星さん、一輪さん…聖さんが無理しないように見ててもらえますか？神子さんが一緒にいるんですけど、なんか無理しそうなんで」
「わかりました、姐さんは私達で止めますので」
…さて、霊夢が行ったのは、あちらの平原だな。…なんで向こうに飛んでいったのだろうか。
