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東方黄明譚  作者: k.Yakumo
26章 その希望はどこにあるか
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心綺楼:苦労人と共謀する

「…これ、なんだろう」


命蓮寺のはずれに、妙な空間の裂け目のようなものがあった。…中には気配が幾つもあり、その中には霊夢の気配もあった。


「…ああ、神子さん達が普段過ごしている空間かここは」


中に入ると、形容がしにくいような幻想的な世界が広がっている。

神子さんは、あの異変の後…異空間に道場を作って、信者を集めていたと聞いた。


「…ん、屠自古さんこんにちは」

「…誰だ…?いや、その気配…でも…」

「…もう首から札でも提げてた方がいいかなぁ。私は八雲黄ですよ」

「…本物、だろうな。その体内で渦巻く力は君のものだろうから」


…うん、話が早くて助かる。


「それで、また君はあの巫女の追っかけかい?」

「その言い方だとなんか語弊が…一応、大丈夫か見てるだけなんだけど、行く先々で巻き込まれちゃって。弾幕勝負をしてても違和感がない姿になってるんだ」

「…ほーう?」


あれ、今屠自古さんの目がキラーンと光ったような…?


「…頼みがある、聞いてくれるか?」

「…私でできる範囲であれば」


ああ、また巻き込まれちゃうのか私は…





霊夢が布都ちゃんを倒して、私が治療して…その後すぐに、治療したはずの布都ちゃんと対峙する事になった。


『最近、妖怪を退治して天狗になってるんだ。私は強いんだってね…ここらで一回、布都の高くなってる鼻を折ってやってくれないか?』

『…私じゃないとダメなんです?』

『手加減しつつボコボコにできそうだったから。…それと、私も割とストレスが溜まってて…布都がボコられるの見たらスッキリする気がするんだ。今朝だって…』


布都ちゃんがやられるまで、屠自古さんの苦労話を聞かされて涙が出そうになった。苦労してるんだなぁ…今度何かストレス発散のためのものを贈ろうかな…


「まさか、お主と戦う日が来るとはな!」

「…私だって、そう思ってるよ…」


私の手には、蒼く冷気を放つ細剣が握られている。…これ、布都ちゃんのスペルとあまり相性良くない気がするんだけど…ま、いっか。


「では…ゆくぞ!てやっ!」

「…お皿?」


布都ちゃんはお皿を何枚も投げてくる。お皿はそのまま飛ばずに浮遊してとどまっている。…次の技への布石だろうか。


「天の磐船!」

「…っとと、危ないな。船自体からも弾幕…って、皿も纏めて割ってる…」


先程のお皿も、弾が当たって割れていく。

二十を数えたあたりで、布都ちゃんの放つ矢弾の威力が上がった。


(…パワーアップのためのものだったのね。…厄介な)


扇子を広げ、これ以上皿を割られる前に落とす事にした。…ついでに船とかも攻撃しちゃおう。


「精霊細剣『アスル・クラロ』!」


細剣を構えると、全方位に氷柱の細剣が出る。…たぶん300くらいはできてるかな。


「発射!」

「ぬ、おおっ…!?なんじゃ…!」


船を穴だらけにして、皿を粉々に砕いていく。氷の細剣による蹂躙はそれでは終わらず。


「なっ、うわっ、ひゃぁぁ!?」


布都ちゃんが避けられるギリギリで次々に飛ばしていく。…屠自古さんのリクエストで、慌てふためいて自分に助けを求める状況が作り出したかったとの事だ。


「うわぁぁっ!と、屠自古、助けてくれ!」

「……」


屠自古さんは動かず、布都ちゃんをじっと見つめ…にやりと笑った。


「いつもいつも私に迷惑をかけるくせに、都合がいい奴は…」

「え、ちょっ、待って…」

「痺れてしまえーっ!」

「うにゃぁぁぁぁぁ!?」


細剣を伝うように、蜘蛛の巣のように。

雷の糸は布都ちゃんを絡め取って痺れさせた。





「…ふー…すっきりした」

「そりゃどうも…」

「…ふぇぇぇ、二人ともひどい…」


いろんな所を焦がした布都ちゃんはまだ痺れていて…屠自古さんが膝枕(とはいっても屠自古さんのそれを膝と呼んでいいのか)していた。


「巫女は既に出て行ったみたいだ。追いかけるといい」

「ありがとう屠自古さん。…今度何か疲れの取れるもの持ってきますね」

「…ん、ありがとう」



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