心綺楼:拳と風と
「…ねえ、それさっきの杖よね。それで戦うの?」
「杖術というものもあるんですよ。やってみるのは初めてですけど」
杖の長さは私の身長と同じくらいまで伸ばしてある。…さっき一輪さんを治した時はこの半分くらいだったけど、戦闘だと長い方がいいと思ったからだ。
「…そんな杖で、雲山の拳は防げないわよ…!」
先手必勝と言わんばかりに、一輪さんが指示を飛ばして雲山の拳が飛んでくる。
「…ん、よっと」
最低限の動きで躱したり、杖で拳の横を叩いて起動をそらしたりする。
普通の杖ではこうはいかない。たぶん拳に触れられないだろう…雲だし。
「…っ、すごいわね…」
「まだまだ序の口ですよー…んー…今度はこっちから」
杖をその場でフルスイング。風の塊が飛んでいく。
「雲山、ガードを…!」
「……!」
雲山が、一輪さんの前に出て塊を受け止める。…うん、威力も弾幕勝負用に抑えられてるかな。本気でやったら雲山に穴が開いちゃう。
「隙あり!」
「あうっ…痛いなぁ…」
一輪さんは私の背後に回っていて、手にした鉄の輪で殴りかかってきた。…当てやすいように胴を狙ったのか…脇腹が痛い。
「一気に畳み掛けるよ…拳固『懺悔の殺風』!」
「…させない。精霊杖『ジリョーヌイ』!」
雲山の巨大な拳と、杖から放たれた風の塊がぶつかり…弾かれる。
「くっ…!?」
「…スペルを撃った後も、隙は見せないようにしないとね…」
弾けた衝撃で仰け反った一輪さんの後ろに回って、杖で肩をトントンと軽く叩く。
「…むぅ、強いですね…」
「それはどうも…ふふ」
「…私も、もっと強くならないといけませんね…」
とりあえず、勝負ありみたいだ。
◆
「では、私は霊夢を追いかけないと…そういえばどこに行ったっけ…」
「霊夢ならまた下に降りていったみたいだよ。…方向からして命蓮寺の方だね」
「ん、そっか。ありがとうナズーリン」
「いやいや。…君も頑張ってね」




