心綺楼:浮舟に絶叫
霊夢は空中に浮かぶ船へと向かったらしいので、追いかける事にした。…んー、なんだか布都ちゃんと同じような感じになってるな。…まぁ、私の場合は異変の度にそうなるのだけれど。
ちなみに、変身には結構エネルギーを使っちゃうのでもう一度女性になって、異変が終わるまではそのまま過ごす事にした。…飛ぶのも楽なんだよね、この姿だと。
「ん、よっと」
「…えっ、誰?」
船の上に降り立つと、ナズーリンが驚いていた。…やっぱりそうなるよね。
「ふふ、八雲黄だよ」
「…えぇー…?君は女装趣味でもあったのかい?」
「待って、違うから…」
とりあえず変身の説明をすると、ナズーリンは…やっぱり微妙な反応を示した。
「…うーん、だからと言って変身する必要あるのかい?そこまでして弾幕で勝負をしたかったのか君は」
「…割と、いい機会かもしれないからね。ちゃんと実力を示すのには」
「…ん、そうかい」
「…うぐぐ、負けた…」
声のする方を見ると、一輪さんが雲山の手のひらに座ってしょんぼりしていた。
「こういう戦いであれば勝てると思ったんだけど…」
「まあまあ、とりあえず…」
「私が治療してあげる。…よっと」
風の力を込めた杖を創り出し、一輪さんの頭の上で振る。
「…おぉ、身体が軽く…すごいね」
「ふふー…」
「ところで、誰?」
「…うーん、移動中はやっぱり男の状態で移動しないとダメかなぁ。でも疲れるし…でも説明するのも面倒だからなぁ…」
「え、えーと…?」
「魔理沙が居てくれたら説明…いや、無理かな。恥ずかしがって絶対してくれないや」
「…一輪、彼女は八雲黄だよ」
「え、えええっ!?」
空飛ぶ船の上で、一輪さんの絶叫が響いた。
◆
「…ふーん、それでそんな姿に…」
「はい、お茶だよ」
「ありがとうナズーリン。…水筒持ってた方がいいかな。説明の度に喉乾いちゃう」
「それが賢明だよ」
「…それで、腕試しだったわね。…私ももっと実力をつけたいし…模擬戦ってことでいいかしら」
「一輪さんは疲れてません?」
「さっきあなたが治してくれたから平気よ。さ、やりましょう」




