心綺楼:始まりと何故か参加
「…こりゃまたえらい騒ぎになってんな。…ふむ」
人里の住人をはじめとした、様々な種の生命が一様に興奮する様は、まさに異変と言えるだろう。
様子を見に来ただけだったのだが、これは調査の必要が…
「うおっと！？」
「おう、黄か！そんなところに突っ立ってると危ないぜ？」
「魔理沙か？…人里内で弾幕勝負？」
「そんなところだ、ぜっ…！」
おや、弾幕を防御したように見えたが…相手は霊夢か。
「なぁ、弾幕の防御が今回はありなのか」
「格闘も交えてるしな。人気を得るためなら、なりふり構ってられないんだ！」
そう言って、魔理沙は箒に跨って霊夢に突撃していった。…元気だな。
しかし、格闘を交えた弾幕勝負か。…これなら僕にも霊夢に勝つチャンスが…ってなんで参加する方向で考えてるんだ？
「…影響が少なからず僕にも出ているようだな、気をつけて…」
「おぉ、そこに居るのは黄殿か！」
「…ん、布都ちゃんじゃんか。どうしたの？」
「太子様を探しておるのだが、見失ってしまってな…知らぬか？」
「…いや、僕も今来たところなんだよね。…どうしてこんな騒ぎに…」
「うむ、どうやら信仰心を集めようと皆躍起になっておるようなのだ」
「信仰心、ねぇ。…魔理沙は騒ぎに乗じているだけか」
となると、太子…神子さんや聖さんも参加してるのか。こりゃ後が大変そうだな。
「…ところで、黄殿は参加せんのか？」
「あいにく宗教とかそういうのはねぇ…悟ってる状態に近いものだし」
「ふむ、そうか…では私は太子様を探しに行くとしよう。見かけたら教えてくれ」
「ん、わかった。じゃあね」
布都ちゃんは上空に飛んで…って、船も浮かんでるな。あれ確か命蓮寺になるやつじゃなかったか？
「…うぐぐ、負けたー…」
「…ボロボロじゃないかよ」
どうやらぶっ飛ばされた様子の魔理沙がトボトボとこちらに歩いてくる。
「うう、私の知名度を上げるつもりだったんだが…」
「…とりあえず治療してやるから」
「お、サンキューな」
魔理沙の怪我(とはいってもかすり傷程度だ、やはり慣れている)を治療していると…魔理沙がじっとこちらを見ている。
「…なんだ？」
「いや、お前も割と知名度あるよなーと。…勝ったら人気もあがるかな、とか」
「…まさか」
「そのまさかだよ。…黄、勝負だ！」
「…どうしてこうなるのやら…でも、今回のような戦いなら…模擬戦と考えて、割り切るとするか」
最近は実戦も無くて稽古をつけてばかりだしな。…悪くないか。
「よし、じゃあ…やるぞ！」
「…仕方ない、実戦形式に近い状態であればどのくらいの実力があるか、見せつけてやろうか」
割と無理やり参加させてみる。
