白玉楼:従者代行、おちょくられる
「…はふぅ、妖夢のには及ばないけれど美味しいわねー」
「練習してるところですからね」
「あら〜?世界樹の意思で一番美味しい淹れ方とか調べないの?」
「そんな気軽に聞けるものでもないんですから…」
僕は現在、白玉楼でお手伝いをしている。
妖夢さんが熱を出して倒れてしまったので、僕が代わりに派遣されてきたのだった。
「…ごめんなさいね?」
「…いえ、大丈夫ですよ」
「私は縁側でゆっくりしているから…妖夢の様子を見てきてあげて」
「了解です」
◆
「…けほっ、けほ」
「妖夢、大丈夫か?」
「は、はい、ごめんなさい…」
「いやいや…平気だよ。妖夢はゆっくり休んでいて」
「…はい」
妖夢は、布団の中で震えていた。
どうも体調不良から風邪を引いて、更に疲れが重なって悪化したようだ。
「…幽々子様は、どんな様子でしたか…?」
「ん、妖夢の事を心配していたよ。…お茶を淹れてあげたら妖夢のには及ばないって言われちゃってね」
「…もう、幽々子様は…けほっ」
「…声枯れてるんだから無理して喋らなくていいぞ。…水がもう入ってないな。汲んでくるから」
「…すいません」
「いいのいいの。寝てて」
「…はい」
◆
水を汲んで妖夢の所に持っていき、縁側に戻ると幽々子様の隣に紫様が座っていた。
…相変わらず二人でイチャイチャしてるなぁ。
「もう、幽々子ったら…」
「あら、愛しの彼が戻ってきたわよ〜?」
「い、愛しの彼って…恥ずかしいからやめてよもう」
「あいたっ!?」
何故僕の頭に金だらいを落としてくるのか…うぐぐ。
「照れ隠しを彼にするのはやめなさいよ〜?嫌われても知らないわよ?」
幽々子さんはそう言って、紫様から見えないようにウインクする。…一緒にからかえという事か。
「…酷いです、紫様…人里に移住しようかな…」
「…えっ」
「あら、嫌われちゃったみたいねぇ」
「……」
紫様の方を向かずに、座ってみる。…隙間でこっそり覗くと…泣きそうな顔になってる!?
「えっ、ちょ、紫?」
「…ぐすっ」
「そんなに、ショックだったの!?」
ああもう、仕方ないなぁ!
「嘘ですよ紫様!…ほら、泣かないでくださいよ…」
「…っ、馬鹿!もう!」
ペシンペシンと叩かれつつ、紫様の頭を撫でて慰める。…割と僕も紫様もお互い依存してるんだなぁ…。
「…罰として、1日黄の上に座るから」
「え、その姿では…っと」
紫様は身体を自ら縮めた。…クーがもうちょい成長したらこのくらいの大きさになるかな?
「…こうすれば問題ないでしょ?」
「移動する時は…」
「肩車ね」
「…仕方ないですね」
「…ふふ、いいわね〜…黄のおかげで、紫の可愛い面がいっぱい見られて私は幸せよ〜」
「もう、幽々子…」
「…ふふ」
この章では白玉楼と永遠亭のお話を3話ほどやろうかと。




