神霊廟:欲望の星空の下で
「…あー、もう始まってる…」
大きく開けた空間で、霊夢が三人を相手にしている。…数的不利があるように見えるが、霊夢が押しているようだ。
「あらあら、もう始まっていたのね…」
「…えーと、あの三人は…?」
「緑のが蘇我屠自古、白いのが物部布都。そして真ん中におわすお方が…豊聡耳神子様ですわ」
「…蘇我に、物部…古い日本にいた人物の関係者か。…って事は豊聡耳神子って…」
「あのお方は、古の日本で仏教を広めたお方…」
「…聖徳太子か!?」
外界の教科書に必ず載ってる人が出てきちゃってるよ!
「…あら、二人はもう落とされてしまいましたか」
驚いている間に屠自古さんと布都さんが落ちていた。とりあえずスキマで回収してこちらに寝かせておく。
「おのれ、よくも二人を…」
「呼び出したのはあんたでしょう?」
呼び出した、か。紫様が藍様を呼びだすスペルみたいなものか。
「…とりあえず治療を。って屠自古さんは幽体なのか…治療方法を別にしなきゃならないな」
まず屠自古さんを霊力と妖力を混ぜて治療する。…すぐに気がついた。
「…っ、う…?…落とされた、のか…」
「大丈夫ですか?」
「…あーもう、布都のせいで尸解仙にはなり損ねるし、いきなりあの巫女にボコられるし最悪…」
「えっ」
「…あんたが治療したのか、私を。…一応礼は言っておく」
「あっ、はい…じゃあもう一人を、」
「あー…治したらうるさくなるからやめとけ。お前に治されたって聞いたら質問攻めされるぞ」
「…治療しつつ眠りの魔法かけときます」
「ん、そうしときな」
…仲悪いのかこの二人は?
「神子様は…」
「ん、霊夢…巫女とまだ戦ってる。…神子と巫女ってごっちゃになるな」
「確かにそうだな…」
「数的優位が無くなった分、追い詰められているわね…」
「神子様が負けたら、また封印されてしまうのだろうか…」
「いや、たぶんそんな事はないと思うよ。封印するのめんどくさいって言いそうだし」
「そうなのか?」
「うん。今回ここに来たのも、神子さんが復活して集まってきちゃってる…神霊が増えた原因を調べるのが発端だったし」
「へぇ…そうだったのか。…神霊に関しては、そのうち消えていくと思うが」
「そっか、なら安心。…さて、霊夢がそろそろ面倒になってボコボコにしようとするし…治療の準備しとくかな」
「ボコボコにしようとするのを止めはしないのか…」
「介入するのはこの戦いのルールにはそぐわないし…たぶん僕も纏めてボコボコにされちゃうからね。…このルールでない荒事なら、勝つ自信は…自信は…」
…うーん、普通にボコボコにされそうな未来しか見えない。ほぼ100%発動する勘が冴えわたって結局ボコられるんじゃないかな。
「…無いなら無いと言えよ、ふふ」
「…むぐぐ…あ、神子さん落ちた」
さてと、スキマで回収して…治療して宴会の準備か。忙しくなりそうだ。




