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東方黄明譚  作者: k.Yakumo
23章 日常にもお仕事は潜む
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紅魔館:夢の果て、涙で仲直り

作戦開始から三日後。

見事に、効果は現れていた。


『……』

『…うう、眠れない…』


主犯格の妖精、赤月と雪青が寝ている間…紫陽花から聞いた話の通りの内容の悪夢を見せている。もちろん、紫陽花視点からだ。

翌日からすぐに効果は現れていて、二人の仕事効率は目に見えて落ちている。


「昨日から内容を二割り増しくらいにしたけど…効果出てるなぁ」

「…メランが、二人のできてない部分をやってくれてるからこそ出来ているのよね」


紫陽花の分と、二人ができなくなった分の仕事はメランの分身がやっている。

そして現在、二人の監視を図書室でやっているところだが…


「…ところで、紫陽花は今何してるの?」

「屋敷にいます。クーと藍様のダブルもふもふカウンセリングで精神状態も安定してますよ」


普段はクーと一緒に過ごさせて、精神状態が不安定になったら藍様が優しく抱きしめてあやして…と繰り返している。

今朝確認したところ、藍様の出番もだいぶ少なくなってきた様子だった。


「…ん、赤月が限界かな」

「倒れそうになっているわね…」

「…紫陽花を連れてきます。小悪魔さん、回収お願いしますね」

「はいはーい」





「…ぅ、う…?」

「…あ、赤月ちゃん…気がついた?」

「あ、紫陽花!?今までどこに…」


倒れた赤月を、紫陽花に看病させている。一応近くに僕も居るが…声はかけないでおく。


「わ、私も…その、えっと…」

「…あ、あの、さ…」


双方、目に涙が浮かんでいる。…それぞれが泣きそうな理由は違うだろうけど。


「…その…」

「…紫陽花、ごめんね…」

「えっ…?」

「なんでか分からないけどさ、紫陽花が居なくなってから、変な夢を見てさ…私と、雪青が今までしてきた事、紫陽花の目から見たような…」

「……」

「私、今までどれだけひどい事をしてたんだろうって…う、うぅ…」


赤月は、紫陽花に抱きつき…大声で泣き出した。…釣られるように、紫陽花も涙を流す。

まずは、一人完了…かな?


「…あの、雪青ちゃんは…?」

「仕事してるけど…なんか、顔色悪かったかも…」

「…黄さん、もしかして…」

「…すまんな、分からせるためだったんだ。雪青にも同じ夢を見させている」

「…っ、あんたがあの夢を?」


解決したようなものだから、依頼されていた事も話そうか。





「…皆に、迷惑かけてたんだね私達…」

「咲夜さんやレミリアさん達にもちゃんと謝るようにね」

「…はい」

「…しかし、雪青はなかなか…タフだな」

「…あの子、結構頑固なところあるから…」


…ま、根気よくやりますかね。見たところあと一押しだろうから。





翌日、雪青が倒れ…同じように紫陽花に看病させる。


「…う、ん…?私…」

「雪青ちゃん…気がついた?」

「……っ、何よ…」


紫陽花を見て、軽く後ずさりするような素振りを見せた。…悪い事をしたので、仕返しされるかもしれないと思っているようだな。


「…雪青ちゃん…」

「…こ、来ないで。…私、看病される資格なんて…」


…おや、違ったか?


「あ、あのね。私…やっぱり、赤月ちゃんと雪青ちゃんと、仲良く一緒に働きたいの。三人で力を合わせて…」

「…紫陽花。私があなたにした事…覚えてるのよね。…なんで、そんな事が言えるの!?」

「っ、だって…ぅ、うぅ…っ…」

「…な、なんで泣くのよ…っ、もう…」

「…私は、お仕事の仲間だけじゃなくて、友達だと思ってる、の…!」

「……っ!」


雪青はひどく動揺したような表情を浮かべて

そのまま泣き出してしまった。

紫陽花も同様に泣いてしまっている。


「…う、うぁぁっ…」

「雪青ちゃん…私は、大丈夫だから…」

「…ごめん、ごめん…っ、紫陽花…!」


…さて、役目は終わりかな。





「…すぅ…」

「すー…」

「…ん、むにゃ…」


その日の夜、三人の様子を見ると…同じベッドで、紫陽花を真ん中にして眠っていた。…幸せそうな顔をしている。


「…ふふ、これで大丈夫かしらね」

「ええ、これからは大丈夫だと思いますよ」

「ありがとうね。はい、これ報酬よ」

「どうも」


大きめの紙袋を受け取り、スキマを開く。


「では、また何かあったらメランを通じて連絡してください」

「ええ、ありがとう」




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