紅魔館:彼女を救う為に、悪魔になろう
「ご、ごめんなさい!」
紫陽花が目を覚ましたので、屋敷に連れて…話を聞こうとしたのだが、先を取られてしまった。
「…未遂で済んでるし、いいよ。…どうしてあんな事しようとしたか、教えてくれたらね」
「…そ、それは…」
理由を聞こうとすると、口ごもってしまう。
…まぁ、理由は大体分かっているから…
「…あの二人なら聞いていないよ。そのために紫様の屋敷に連れてきたんだから」
「…ほ、本当ですか?赤月ちゃんや、雪青ちゃんには言いませんよね!?」
「ああ、大丈夫。…落ち着いて、ゆっくり話してくれるかな?」
「…は、はい…」
◇
紫陽花は、フロア長の中で一番遅く自我がはっきりとしだしたらしい。
元々がおっとりとした性格だったため、仕事を覚えるのも遅く…最初は、赤月や雪青も優しく教えてくれていたようだ。
しかし、やはり覚えるのは遅く…段々と、教え方が乱暴になっていき。
ついに、暴力や暴言へと発展していった。
「それで…っ、私に、命令とか、するように、なって…っ」
「……」
泣きながら、今までの辛かった事を吐き出していく紫陽花。
…これは、強烈なお仕置きが必要かもな。
「…紫陽花。赤月と雪青は今は?」
「…寝て、います…」
「…ふむ、そうかい。メラン」
「どうされましたかな?」
「…闇魔法は主に精神に作用させる事が出来るんだったよね?」
「…ええ、そうですが…なるほど。ほほほ…」
「…何を、するんですか…?」
「…君の記憶を、寝ている間に見せようと思う。紫陽花の視点から」
「…え、えっ?」
「それも、一日じゃなく…あの二人が謝るまでずっとな」
「…え、えっと…」
「こういうのは、相手に自覚してもらわない限り、無くならないもんだ。…ん、そうだな。謝る相手がその場にいないのもありかもな」
「…私、フロア長をやめなきゃいけないんですか?」
「いや、そうは言ってないよ。…少しの間、この屋敷に居てくれればいいんだ」
「…分かり、ました…」
…クーを一緒に居させてやるか。僕に見つかったので怖がっているかもしれないし。
さて、と。では今から、彼女たちには悪夢を見てもらおうじゃないか。




