紅魔館:侵入者
その影は、入り口付近で何かをしているようだ。
「………」
「…こ、これで怒られない、よね…」
この声…まさか…?
気づかれないように、影の中を移動。そして…
「うりゃっ」
「きゃあぁっ…!?」
背後から襟首をつかんで持ち上げてやる。…軽いな。
「…紫陽花、僕の部屋で一体何をしてるのかな?」
「あ、それは、ええと…」
手に持っていたのは、ハサミと細い糸…そして、画鋲などの鋭い針。…これ、悪戯のレベルではないな。
「…どうしたのかな?」
「あ、あううう…その…」
「教えて、くれないかな?」
「…う、あぅ…」
「…っと、気絶しちゃったか。…とりあえず、相談したいが…図書館に居るかな」
紫陽花を抱えたまま、図書館に向かう事にした。…後ろからの視線はいつの間にかなくなっていた。
◇
「…なるほどね、この子が…」
「…恐らく…命令されたんじゃないかな、と」
「それで、どうするの?」
「…起きたら、この子に話を聞いてみようかと。あの二人に聞かれないようにどこか…屋敷に一度連れて行こうかと思っているんですが」
「…ええ、お願い」
図書館で、パチュリーさんに紅茶を入れていた咲夜さんに報告をしておいた。…紫陽花はソファに寝かせている。
「…咲夜、最近忙しそうだったと思ったらそういう事だったのね。…自白剤くらいなら作れるけど」
「あ、大丈夫ですパチュリーさん…こういうのはちゃんと自分から言わせないとダメなんです。皆のためになりませんから」
「…そう、分かったわ」
さて、紫陽花が目を覚ますのを待つとするかな…。




