星蓮船:船内を征く
○高速浮遊艇・船内
一輪さんと、謎物体を回収しつつ船内を進んでいくと…魔理沙と、魔理沙の箒に乗って、痛そうな顔をしている早苗が奥からやってきた。
「お、黄じゃん。お前も宝探しか?」
「いや、違うぞ。異変として認定されてるからアフターケアに来てるんだ」
「…むう、妖怪を治療しちゃうんですか」
「妖怪がいなくなったら妖怪退治で名をあげるのも不可能になるよ?」
「…それもそうですね」
「ところで…二人はなんで戻ってきたんだ?」
「いやぁ、お宝は無いって言われたからさ…後は霊夢に任せとこうと思って」
「私は…負傷してしまって、これ以上は足手まといだと言われまして…力不足です」
「治療してあげてもいいけど…」
「…いえ、これは私の教訓として、普通に治るまで魔法での治療はいらないです」
「…そっか。気をつけて戻るんだよ」
「おう。…霊夢がぶちのめした妖怪がこの先に居るからな」
「わかった、じゃあね」
魔理沙と早苗を見送って、奥へと進むと…操舵室に到着した。
壁にもたれかかるようにして、セーラー服の女の子がぐったりしている。
「村紗!」
「…やっぱりお仲間さんだったか。…普通の妖怪かなこの子は?」
「ええと、村紗は船幽霊だから…」
「…ん、わかった。魔法じゃなくて…」
僕の力を変換して、霊力と妖力を混ぜ合わせた力を注入していく。
数分ほどして、彼女は目を覚ました。
「う、ううん…」
「村紗、大丈夫?」
「…脇丸出しの巫女にボッコボコにされた…あいたた…」
腕などをさすりながら、彼女は立ち上がる。
「君が助けてくれたんだ、ありがとう」
「気にしないでいいよ。僕は八雲黄、よろしく」
「村紗水蜜、この船の船長だよ。…君は、どうしてここに来たの?」
「えーと…さっき君をボコボコにした巫女を追っかけてるんだ。追いつけない程度に」
「…?変なの」
「巫女がボコボコにしたのを回復させるのも僕の役目だからね」
「ふーん…」
どこからか取り出した柄杓を手先で弄りながら村紗は僕の話を聞いてくれている。…そういえば、一輪さんからは行き先をちゃんと聞いていなかったっけ…!?
「…なんか、空気が変わった気が…」
「目的地に到着したようだね」
「…どこかな?」
「魔界だよ」




