閑話 天狗達と式神達
今日は、天狗の皆さんと修行をするために妖怪の山に来ています。
友達で、私と同じ主様の式神のクスハちゃんたちも一緒です。
「クーちゃん、今日もよろしくね〜」
「…うん、よろしく」
「今日は私が勝つからなー!」
「…別に勝負してないのに」
「何をー!?」
「…姉さん、大声出さないで、うるさい…」
クスハちゃんが、キリお姉さんの背中をぺしぺしと叩いています。…仲が良くていいなぁ。
「さて…もう揃っているな」
「…ん、柊お姉ちゃん」
「…訓練の時はお姉ちゃんは無しで。にやけちゃうから」
「ん、ごめんなさい」
柊お姉ちゃんや、椛お姉ちゃんは優しい私のお姉ちゃんみたいな人たちです。
いつか私も、あんな風にかっこ良くなってみたいな…それで、主様の隣で一緒に戦いたいの。
「さて、いつものメニューから始めるぞ、付いて来い!」
「「「「はい!」」」」
◇
一通りの訓練が終わって、お昼ご飯の時間です。お屋敷の食堂で、私は椛お姉ちゃんの膝の上に座っています。
「…ああ、癒されるなぁ…」
「…主様も、椛お姉ちゃん達も言ってくれるけど…そんなに私を抱っこするの、好きなの?」
「うんうん…だって可愛いからねぇ…」
おにぎりを食べている私を、いっぱい撫でてくれます。…えへへ。
「あややや、まただらけきってますね椛…」
「む、文さんですか。クーは渡しませんよ?」
「いえいえ、別に奪おうとは思っていませんから」
烏天狗の文さんもご飯の時間のようです…あれ、擦り傷がいっぱいです、何かあったのかな…
「…文お姉ちゃん、それどうしたの?」
「ん?ああ…この傷ですか。実は哨戒天狗以外の天狗も訓練をするぞ、と大天狗様が言いまして…ちなみに私たちは黄さんに稽古をつけてもらっているんですが、まぁかるくあしらわれてしまいますね…あの異変が終わってから、一気に強くなりましたね」
…うん、主様が八属性の精霊を皆集めて、それから「せかいじゅ」の力に目覚めて…すごく強くなった。
私もちょっと強くなったけど、まだまだです。
「へー…」
「ちなみに大天狗様が今戦ってるんですけど…黄さん、余裕そうでした。前にやられた『鎧通し』ですら、簡単に防いで…」
「…大天狗さんは、ボコボコにされちゃえばいいの」
「おやおや、相変わらず厳しいですねぇ」
…だって、触り方が乱暴だし、主様を傷つけるから嫌いなの。
「ま、今頃黄さんにボコボコにされてるでしょうから心配はいらないと思いますよ。…おや、噂をすればですね」
食堂の入り口の所に、主様と大天狗さんが居ました。…主様は涼しい顔をしていますが、大天狗さんはすごく疲れてます。
「…むぐぐ、もう無理…」
「言い出しっぺが最初にへばってどうするんですか。ご飯食べて訓練の続きをしますよ」
「無理じゃあんなの!どう避けろと!」
「全力で避け続ければ当たらない速度にしてあるんですけどねー」
…主様、ちょっとだけ意地悪な顔になっています。…ふふ。
第二部は、星蓮船〜輝針城までの異変を、彼の視点から辿る物語になります。




