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試されただけ
傷が、一瞬で治っていた。
右腕に、何かが握られている。
「っく、悪あがきを…!?」
目の前にいた藍さんの目が、大きく見開かれている。
自分の内側から、力が、溢れ出して…周りに揺らめいている。
「…っ、紫様、コウは…危険です!今すぐに始末しなければ…」
「その必要はないわよ。…コウ」
「…なんですか」
「…ごめんなさい、こうなるのを分かっていながらやらせたのよ、あのテストは」
「なら、藍さんも打ち破るのがテストだったと?」
「いいえ。…外来人の能力って、どうやって覚醒することが多いか…聞かせたことがあったかしら?」
「…いいえ」
「大抵は死に瀕したことで、覚醒するのよ」
なら、わざと殺させようとしたって事か。…なんてこった。
「死んだらどうするんですか、紫さん」
「死ななかったから良かったじゃない」
「…はぁ、もういいです」
身構えるのをやめると、力も萎んでいき…元に戻った。
「…藍、それにしてもやりすぎよ」
「…すいません」
「服、ボロボロになっちゃったわね。戻って着替えましょう」
紫さんは、こうなると知っていたのだろうか?
少しだけ警戒しつつも、戻ることにした。




