数種類の目覚めの先に
「…っ、黄!!良かった…」
目が覚めたはずだったんだけど、またすぐ真っ暗になった。というかあったかいんだけど苦しい…。
「…むが、むぐぐ」
「っと、ごめんなさい…でも、本当に良かった…」
抱きしめてくれたのは、やっぱり紫様だった。…ここは永遠亭のようだ。
紫様の後ろには、藍様、クー、天子さん、萃香さん…そして、こちらでは初めて会う、彼の姿もあった。
「…やっと会えたね、主様」
「…ツーレイ、だな。ごめんな、なかなか取り込むことができなくて」
「いやいや、ヤツは僕を取り込んだ後に向こうで暴れまわって力を蓄えてからこちらに飛んできたみたいだから…」
雷の精霊、ツーレイは苦笑いを浮かべていた。
「まったく、音がしなくなって見に行ったら、血まみれで倒れてるし…」
「傷そのものは塞がっていたんだけど、意識が戻らないからこっちに運んできたんだよね」
「…主様」
クーが、ぎゅっと僕の身体に抱きついてくる。
「そっか…迷惑かけてごめんなさい。それと、ありがとうございました」
「…それで、黄。精霊が揃った訳なんだけど…」
「ええ…こっちで意識がなくなってる間に、世界樹の意思と対話が…あ、そうだ」
腕輪を見る。バーコードなどが消え、淡く金色に輝いていた。
「この腕輪に、世界樹の力が閉じ込められていたようなんです。…イレギュラーで精霊を集める前から僕に力が譲渡されたようで」
「…スペルカード?」
「そうみたいです。それにしてもこの変化は…?」
眺めていると、腕輪がだんだんと腕に取り込まれ…えっ?
「ちょっと、それ大丈夫なの!?」
「…主様の力、変質してる!」
何者にも属さなかった僕の力が、何者にも属する力へと変質しているのを感じる。これが世界樹の力なのか…?
「ぐっ…!?」
「黄!?」
そして、膨大な何か…記憶だろうか?それが頭に流れ込んできているようだ…!?
「…っあ、はぁっ、はぁっ…」
「だ、大丈夫…?」
「…大丈夫、です…これも教えておいて欲しかったなぁ…」
世界樹の力と知識、それを僕が手に入れた瞬間だった。
…そろそろ一章終えられそうだなぁ。




