黒雷
「…!黄、西側に僅かだけど空間の歪みがあるよ!」
「…ついに来たか。紫様…」
「ええ、とりあえず避難は私と天子でやっておくから」
「ありがとうございます。萃香さんも紫様の手伝いをお願いします」
「一人で大丈夫なの?誰かが手伝ったほうが、」
「…あの瘴気、ろくに動けるのは僕だけみたいなんですよ。だから、お願いします」
「…むぅ、分かった。気をつけて!」
元のサイズに戻った萃香さんが、天子さんと紫様と一緒にスキマに消えていく。…さて、あとは僕の仕事だ。
◇
萃香さんが見つけてくれた空間の歪みは、既に裂け目へと変貌して、内側から真っ黒な腕のようなものが飛び出している。…今までの中で一番でかいようにも見えるそれは、どうやら龍の一種のようだ。
「裂け目がまだ小さいぶん、本体がこちら側へと出てこれなくなってるみたいだな。…っと!」
腕が黒い雷を飛ばしている。その間にも裂け目は広がり、腕がもう一本出てきて、裂け目の端を掴んでいる。どうやらあの裂け目をそのまま拡げて出てくるつもりらしい。
「…このまま倒したいけど、精霊玉が回収できるか分からないから直接倒さないと、食わないと…っ!」
『ギョアァァァァァァッ!!」
敵の腕を躱しつつ弱点が無いか探っていると、ついに裂け目から敵が顔を出した。その姿は、禍々しい龍のようだ。
「…最後、だといいな。…始めるか!」




