スキマ妖怪と従者の幸せなひと時?
虚ろな目の藍様と、怒りつつもこちらをチラチラと見てくる紫様。
朝の騒動から数時間経った居間は、妙な空気になっていた。
「…えーと、藍様大丈夫ですか?」
「…ああ、大丈夫…うっぷ…」
「紫様、何したんですか…」
「スキマを使ってちょっとね」
…あまり深く聞かない方が良さそうだ。
「昼食の準備は僕がしますから藍様は横になっててください。…ジリョーヌイ、お願い」
「わかった、マスター…」
「済まない…」
ジリョーヌイに藍様の治療を任せておくとして…紫様にもいろいろ行っておかないとな。
「紫様、嬉しいのは分かりますが…」
「何よ?」
「…僕よりずっと付き合いの長い藍様をあんなに追い込むのはどうかと思います」
「…そうね、後でケアはしておくわ」
「ちゃんとしておいてくださいね」
紫様の隣に座ると、紫様は…僕に寄りかかるようにしてきた。頭を僕の肩に乗せるようにしている。
「…藍様の前でやったら痛い視線が飛んできそうです」
「ふふ、気にしなくていいのよ。慣れさせなさい」
「えー…」
「だっていずれはバレるだろうと思ってたし…隠してたとしても藍ならすぐに気づくわよ」
「どうしてそう思うんです?」
「藍とは付き合いが長いし…それより、私が隠し通せるイメージが湧かないのよ」
「…ふふ、確かにそうですね」
「笑ったわね!?黄はどうなのよ!」
「…ごめんなさい、僕も隠し通せそうにないです。たぶんにやけちゃう」
「でしょ…ってなんでにやけちゃうのよ」
「完全に自覚してしまってから紫様が可愛くて仕方ないんですよ」
「…馬鹿」
頬をつねられた。痛いけど…こういうのもいいかな。
「なんでまたにやけてるのよ、千切るわよ」
「すいません、すぐ回復するとはいえ千切るのは勘弁してください」
「…主様、何してるの?」
外から帰ってきたのだろう、クーがうっすら汗をかいた状態で部屋に入ってきた。
「んー、紫様からお仕置きされてる」
「…その割には、嬉しそう」
「あぁ、やっぱりそう見えるのね…」
「ふふ…クー、汗を拭いてきなさい。すぐにご飯の準備するから」
「…はーい」
「紫様はここで待っててくださいね」
「…ええ、お願いするわね」
…ああ、幸せだ。
次回より章が変わります。…精霊収集のラスト。




