あっけないかと思ったら保護者がキレた
紫さんの屋敷に来てからちょうど一週間、庭で橙と向かい合っていた。
幻想郷で戦える程に育っているかのテスト、だそうだ。
「コウは、橙の弾が五発当たるまでに一発でも橙に弾幕を当てる事が出来れば勝ち。…本当は一発でも当たれば危ないんだけどね」
「本気でいきますからねー!」
「むぐー、むぐー!!」
紫さんの横に何故か藍さんが縄でぐるぐる巻きにされ、猿ぐつわをされた状態で転がされている。
「…先に聞いていいですか?…藍さんは何故そんな事に」
「橙がテストの相手で、今の内容を聞かせたら危ないじゃないか、ならば私がって激昂しちゃって。仕方なしにスキマの中でちょっとね」
「もう、藍様は過保護すぎるんですから」
なるほど、藍さんは親バカみたいなものなのか…。
とりあえず、真剣な顔でこちらを見ている橙の方へ視線を戻す。
「…じゃ、用意はいいわね?」
「はい!」
「いいですよ、早く始めましょう」
「…始め!」
橙が弾幕を張る。今までの訓練よりもかなり濃いな…!
あえて、地面を駆けて避けつつ接近。
飛ぶのはもうちょっと余裕が無くなってからだな。
「っとと、危なっ」
「むぅ、余裕なのも今のうちですよ!」
牽制の弾幕の中に、ホーミング弾が混ざってくるようになった。
…そろそろ、攻勢に転じるべきか?
「…っ、せやっ」
「うわわわっ!?」
…思ったより焦って避けたんだけど、あれ?
「それそれっ」
「あわわわっ!!」
少しだけこちらも弾を多めに撃ってみると、かなり慌てていた。
紫さんも、驚いた表情をしているような…。
…そうだ、ちょっと自機狙いもやってみるかな。
「…はっ!」
「…うわー!?」
風船が破裂するような音は、命中の合図だ。
橙が放った弾幕が消えていく。
「きゅー…」
「気絶しちゃってる…」
「貴様ぁぁぁ、よくも橙をぉぉ!」
うわっ、藍さんが縄を引きちぎってこっちに突っ込んできた!?めっちゃ怒ってる!




