天狗の長はスキマの従者と会話する
「おお、来てくれたか。早速だが…」
「クーはもふらせませんよ」
「なんと!?」
ショックを受ける大天狗さんと、椛の後ろに隠れるクー。
泣きそうな大天狗さんの視線を受けて、椛は気まずそうにしている。
「なぜじゃ、なぜ儂ではダメなのじゃ…」
「…触り方が乱暴だからじゃないですかね」
「儂としては愛でておるだけなのじゃが…」
しょんぼりさせっぱなしなのもいけないので、話題を変えよう。
「大天狗さん、わざわざ呼び出したって事は重要な話なんてずよね?」
「…む、そうじゃったな…哨戒天狗たちに少し稽古をつけてほしいのじゃ」
「稽古、ですか…うーん…」
「先日の黄の戦いを見ていた天狗たちがな、もっと強くなりたいと言っておったのじゃよ。万が一、黄が来るのが遅れた場合に食い止める存在も必要であろう?」
「それは…確かにそうですね」
山に出現して、もし僕が別の場所で足止めを食らっている間に…その獣が人里方面へ進んでしまったら確かに危険だしな。
「わかりました、ただし少しだけ条件を。風の魔法や術が上手く使えて、なおかつ身体能力に自身のある天狗を選んでください。風をまとわせれば、幾分か瘴気の影響をおさえられるでしょうし…少し取り込んでしまった場合でもある程度動けそうじゃないと…」
「うむ、そう言うと思って既に手配はしておる」
…断ったらどうするつもりだったんだろうか。横を見ると椛も同じような顔をしている。
「無論、儂も参加するからの」
…えっ。




