実りのおやつタイム
「はい、どうぞ」
「…いただきます」
「へー…野菜を使ったお菓子ですか」
さつまいものポテトチップスだったり…あれはパイかな。他にも沢山の手作りお菓子が並んでいる。
とりあえずポテトチップスを摘んでみる。
「…おお、甘い。美味しいですね」
「…これ、かぼちゃが入ってる。美味しい」
ふむ、パンプキンパイだったのね。
「ふふ、気に入ってくれたみたいね」
「ええ、美味しいです。旨みがしっかりしてて…」
「…えへへ、もっと食べたい」
そういいつつ、クーはもぐもぐと食べている。
…椛も控えめにしてはいるけど手が止まってない。
「紫様にも持って帰ってもいいかな?」
「ええ、いいわよ」
「じゃあお言葉に甘えて」
空間魔法で、お皿を取り出してお菓子を乗せて…屋敷の居間に置いておく。…たぶん何も言わなくても食べるだろう。
「それが貴方の魔法なのね…」
「ごく一部ですけれど。…今の所七種類の属性魔法が使えます」
「へぇ…」
「式神にも受け継がれるので、クーも一応使えるんですよ」
「…ん、主様よりは弱くなるけど」
「クー、口元にポテトチップス付いてる」
「…あう」
キメ顔だったんだろう。…恥ずかしそうに顔を伏せてしまった。
「…主様、たまに意地悪」
「意地悪のつもりじゃないよ。…後で自分で気づいて恥ずかしくなるよりいいでしょ?」
「…むぅ」
「ふふ…こうして見ていると、主と式神というよりは…」
「距離がとても近いわね。兄弟というか、なんというか」
…他の皆からもそう見えているのだろうか。
藍様と橙を見ているからそうなったのかな?
◇
「…また、遊びに来てもいい?」
「ええ。お菓子を用意しておくからね」
「…はーい」
クーは順調に各地に馴染んでいるようだ。もうちょっと人見知りすると思ってたりしたんだけどなぁ。
「ふふ、良かったな」
「…うん」
「さてと、とりあえず用事というか、挨拶回りは終わったけど…」
「あ、黄さん。…これからお時間はありますでしょうか」
「ん、何かな」
「大天狗様が、黄さんが来たら屋敷に連れてきてほしいと…」
…んー、なんだろうか。普通の連絡ならジリョーヌイを通してくると思ったんだけど。
餌付けに弱いわけではない、たぶん。




