反省と晩酌、抱擁
「まったくもう、酷い目にあったわ」
「…ごめんなさい」
あれから十分ほど褒め続けていたら、紫様が怒ってしまって…現在正座させられて説教中。
やっぱりほどほどにしておかないといけないかな…楽しいんだけど。
「あんなに恥ずかしい思いをしたのはいつ以来か分からないわ…」
「本当にすいません…」
「…で、でも…少しだけ嬉しかったからこのくらいにしてあげる」
「あっ、はい」
「ほら、こっちに来なさい」
「はい…っとと、脚が痺れて…」
「…仕方ないわね」
紫様の肩を借りて、縁側まで歩く。
…うーむ、いい匂い…
「…顔が崩れてるんだけど、何考えてるのよ」
「いえ、幸せだなぁと」
「…もう」
縁側に座ると、紫様はスキマからお酒とコップを取り出した。
「さ、注いで」
「はい、紫様」
お酒を注ぎ、紫様がゆっくりとそれを飲む。
「…ねえ、黄。記憶が戻ったのはいいけど…寂しくなったりしてない?」
「いきなりなんですか、紫様…」
「…だって、故郷が…」
「…落ち込んでいない、といえば嘘になります。けど…」
「けど?」
「…寂しくはないですよ。紫様に拾われて…藍様や橙と会って…精霊達や、クー達にも会えましたから」
「…そう」
「落ち込んでるって言ったら慰めてくれたんですか、紫様?」
「……」
紫様は何も言わずに、僕を抱きしめた。…とても、暖かい。
「これでも、ちゃんと貴方を心配しているのよ。…だから、ね?」
「…はい、紫様…」
…ああ、やっぱり紫様は優しい。…幻想郷が全てを受け入れるように、紫様も…




