元の世界の末路
「おかえりなさい、黄。…顔色が悪いわね」
「…紫様、話が…」
「ま、座りなさい。…少し落ち着いて」
「…はい」
紫様に促され、座る。…窓に映った僕の顔は確かに普段の状態とは異なって、辛そうだった。こんな顔してたのか…
「…何があったの?」
「氷の精霊を見つけたんですけど…その時に戻った記憶の事で…」
「…!どんな記憶だった…かは、その顔を見ればすぐ分かるわね…」
「…おそらく、僕の居た世界を探し出して繋ぐ事は、幻想郷のみならず外界にまで影響を及ぼすと思います」
「…どういう事?まさか私のスキマを通ってこちら側に流れ込んでくるってことかしら」
「その通りです。戻った記憶の中に居た瘴気の獣の数は尋常じゃなく…生きている物を全て喰らおうとしていました」
「…分かったわ。探す事は継続しておくけど…」
「それと、もう一つ。この腕輪の事です。記憶の中で…微かに聞こえたのですが、腕輪にはなんらかの秘密が隠されていて、精霊を全て集める事で何かが起こるらしいんです」
「…だったら、幻想郷内で最後の精霊を探すのを優先した方が良さそうね」
「はい…あ、そうだ」
ポケットに入っていた精霊玉が冷たさを増す。…早く出してやらないとな。




