樹氷の迷宮ー瘴気の暴風雪龍
「…おい、なんだこれ…」
階段の先、待っていたのは…禍々しい濁った青の鱗に覆われた巨大な龍だ。
赤く光る眼はこちらをしっかりと捉えている。
「瘴気の獣に取り憑かれて、肉体が生成されたようです…ほら、牙が水晶で…」
「って事は、あれが水晶骨龍が骨になる前の姿ってことか。…厄介な」
『ゴォァァァァァッッッ!!!!』
武器を構え、距離を置いて観察していると、瘴気の龍は咆哮をあげる。その直後、部屋中に氷の刃が生成されて飛んできた。
「うおっ…!?」
「俺の後ろに回れ!チェンジ【パラディン】、【氷雪の守護】!」
直さんが盾を構えると、魔力で出来た壁が盾の前に何枚も出現し、氷の刃を弾いていく。
「ぬぅっ!?後ろからも飛んできておるぞ!」
「後ろは僕に任せて!…はぁぁぁっ!」
ヴァリアブル・BWを盾の形へと変形させ、更に土の魔力と火の魔力を纏わせる。熱波で弱体化させて、土の防御で弾く!
「…よし、凌いだか…」
「あの咆哮は厄介です…あれ、クロウさんは!?」
慌てて姿を探すと…クロウさんは既に龍の懐へとその身を滑り込ませていた。
「【精霊槍・雷】!」
その一撃は龍の前足を貫き飛ばした。すぐにクロウさんは戻ってくる。
龍はバランスを崩し、よろめいている。
「まだしっかり定着していないらしい、一気に叩いた方がいいぞ!」
「ならば我輩も前へと出よう!…ぬぅぅんっ!!」
火炎で生成された槍を、何本も投げながら…更にその手に大剣を生成し、一気に距離を詰める。
槍は翼を射抜き、鱗を砕いて刺さっていく。
「せぇぇいっ!!」
ヴェルメリオの剣は、龍の頭を真ん中から両断しようと迫る。だが…甲高い音を立てて弾かれてしまった。
「ぐっ!?」
『ガァァァッ!!』
直後、ヴェルメリオに向けて収束された吹雪が直撃したように見えた。…あれがブレスか!?
「ぬぅ…なかなか硬いやつだな」
「うおっ!?いつの間に戻って…というか直撃したんじゃなかったのか?」
「危険だと判断したのですぐに主の中に戻ったのだ。…我輩達のダメージは主のダメージになるからな」
「なら、ヒットアンドアウェイが可能なのか…しかし、頭部だけ異様に硬いようだな」
「…恐らく、頭部に核が…精霊玉があるんですね…その位置さえ分かれば、後は動きを止めればなんとかなります。行きましょう!」




