編成会議
「ま、とりあえず…迷宮に潜る前に編成を考えないとな」
人里の、直さん達の拠点へと戻って作戦会議だ。
ちなみにこの拠点、「刀槍庵」と言うらしい。そのまんまか。
「前衛はもう俺たち三人でいいとして、支援要員が欲しいところだが…」
「…回復役と補助役ってところか。あの迷宮はこっちの速さを消してくるような敵が多いからなぁ…」
「あるいは…いわゆる固定砲台でも構わないぞ。後方から超火力で溶かしてやったりとか」
「…僕の精霊を連れて行ってもいいですか?」
「ん、精霊を使役できるのか。クロウと一緒だな」
「うーん…クロウさんとは少し違うというか…」
クロウさんは精霊を彼の槍に宿して威力や、自らを強化する能力を持っているとのことだった。『精霊と協力する程度の能力』と名が付いているらしい。
直さんは、籠手の石…魔石に込められた技から、なんとその技を使う職業へと変身できて、派生する技なども使えるようになるらしい。『魔石の可能性を引き出す程度の能力』らしいが…ちょっとうらやましいな。紫様から借りた漫画の変身ヒーローっぽくて。
…話が逸れた。後方支援と固定砲台とするなら…たぶんこの三人が適任か。
「がははは、ヴェルメリオ参上!」
「ふふ、相変わらずお元気ですね…では私も。ミソウ、主様の命により馳せ参じました」
「…ジリョーヌイ、来たよ」
「すげえ、人型だ!?」
あ、やっぱり驚いてる。…人型の精霊ってやっぱりすごいんだな。
「お、なんだこの野郎どもは。なかなか強そうじゃあねえか」
「今回の協力者だよ。今から説明するから…」
「…なるほど、よく分かりました。回復は私にお任せください。残りの一人は…」
「我輩が雑魚どもは蹴散らしてやろうではないか。地底で怨霊どもを吹き飛ばすのは飽きてきたからな」
「…じゃ、今回は…お休み、かな」
「あ、少し待ってくれ。補助をかけたとしてどのくらい持つか分かるか?」
「うーん…僕が近くにいればそこから魔力を通して続けられるはずだから、半永久的にかけられるんじゃないかな」
「そいつは便利だな…今の内に俺たちにかけておいてくれるか?」
「頼んでもいいかな、ジリョーヌイ」
「…ん、わかった」
ジリョーヌイが風魔法を唱え、そよ風が舞う。…身体が軽くなった気がする。
「…こいつは…」
「すごいな、流石人型の精霊か…」
「…じゃ、頑張ってねマスター」
「うん、ありがとう」
直さん、クロウさんはその軽くなった身体を確かめるように武器を二、三回振る。…明らかにスピードが上がってるな。
「これならだいぶ楽に進めそうだな。…よし、じゃあ案内するぞ」




