安らぎ
鎌鼬三姉妹には山の家に戻ってもらい、僕も少し休むことにした。式神にするための紙、集中して作る必要があるから結構疲れるんだよね。
「うー…」
「こんなところで寝転がってたら踏むわよ」
「…紫様にだったら踏まれてもいいです」
「馬鹿な事言ってるんじゃないの」
紫様は、ゆっくりと僕の隣に座る。
「まさか式神になりたいだなんて言うとは思わなかったなぁ…しかも僕の方って…」
「おそらく、私に言ってもしてくれないだろうと思ったんじゃないかしら、三姉妹で話し合いをしている時に」
「…そうかもしれないですね」
「黄、あなた…焦ってないかしら。なんとなくだけれど…早く精霊を集めなくては、と」
「…そうですね、精霊が集まれば、記憶を取り戻せるかもしれない。そう考えているのは…確かです」
ぽん、と僕の頭の上に手が乗せられる。
「あなたの過去がどうであれ、黄は黄なんだから…もっと心を落ち着かせなさい。焦りはいろいろと負の方向への可能性を増やしてしまうから」
「わかりました、そうします…」
…ああ、頭に感じる手の温もりが心地よい。
「黄、記憶が全て戻ったとして…貴方は、どうするつもり?」
「ん…紫様の側にいるつもりです。まだまだ拾ってもらった恩は返せていませんから」
「…ふふ、そう。これからもよろしくね」
「ええ、紫様」




