能力不明
「ま、すぐに終わるからじっとしてなさい」
額に手のひらを当ててくる。
ほんのりと暖かい。
「……」
「……」
霊夢さんは、目を瞑り…手に力が込められるのを感じた。
「…何、これ?…どういう事?」
「霊夢、どうだった?」
手のひらが離される。
霊夢さんは怪訝そうにこちらを眺めていた。
「あの、霊夢さん、」
「さん付けはいらないわ。…紫、これ…どうしたの?」
「少し前に、妖怪の山で拾ったのよ。…不思議でしょ、いろいろと?」
「…確かにね。単刀直入に言うわ。能力の底が見えない。なかなか無いパターンね」
「…えーと、つまり…」
「能力の名前の付けようが無いのよ、今は具体的に何かができるって訳でもなさそうだし」
「ああ、説明が足りなかったわね、連れてきたのはね…」
紫さんが、霊夢さん…っと、さん付けはいらないのか。霊夢に昨日の修行の事から今朝までの出来事を掻い摘んで話した。
「…なるほどね、傷の回復が異常に早い…あと、違和感は私達が今まで感じてきた力と違うからね。…傷の治りについては、能力の一端で間違いなさそうだけれど」
「理由は?」
「勘よ」
紫さんは妙に納得しているが、勘って…。
「霊夢の勘なら、間違いは殆ど無いわ」
どうやら相当に鋭いみたいだ。




