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小川の邂逅
音が徐々に近づいてくる。
すぐに川が見つかった。
「…水が、とても綺麗だな。…うん、美味しい」
手で水を掬って、一口、二口、飲む。
ついでに、顔もバシャバシャと洗う。
「…ふう、さてと…川下の方へと歩いて行けば、何か見つかるだろうか」
「待ちなさい。…貴方、何者かしら?」
顔の水滴を拭い、川下へと歩こうとした瞬間。
綺麗な女性が、日傘をさしてそこに立っていた。
「…貴女は?」
「質問に答えなさい。貴方は何者?結界を壊さずに歪めて入ってくるなんて…」
「いや、何者と言われても…実は…」
「記憶が無い、ですって?」
「ええ、そうです。…目が覚めたら、ここに居たというか…」
「…分かったわ。ちょっとついてきて頂戴。ゆっくり、話をしましょう」
女性が手をスッと前の空間をなぞると、空間が裂け、目玉が大量に覗き込んでくるような別の空間が現れた。
「…さ、しっかり握ってて。行くわよ?」
「行くって、ちょ…っ、うわああぁ!?」
空間の中を、知らない女性と二人で落ちていった。