いわゆる、サブの属性というもの
「たぶん、今…皆の中に、僕の力の一部が流れてると思うんだ。分かるかな?」
「ええ…私の中で渦を巻くように」
「力がどんどん湧いてくるな…すごく強くなった気分だ」
「…ん、ぐるぐるしてる」
僕が取り込んだ精霊の魔力は、しっかりと譲渡されているようだ。そして、今から試したいのは…
「その力、外に出して使えそうかな?」
「…うーん、どうだろう。なんとなく使えるのはわかる気がしてるんだけど…」
「それを実際にやろうとすると、これは出来そうだけどこれは出来ないな、というのが分かりますね」
「…うん」
「…得意不得意がやっぱり出てくるみたいだな。…よっと」
土の人形を幾つか作り、地面に固定する。簡単な的だ。
「まずは、フウ。出来そうなやつをあれめがけてお願い」
「わかりました…っ!」
フウは、人形めがけて風の妖力を飛ばす。空気の塊を飛ばすような突風だが…どうも靄がかかったように…これは…
「霧になってるな。水属性が含まれているみたいだ」
その霧の中に入ってみる。
「危険ですか…!?」
「いや、大丈夫…というか、気持ちいいというか。癒しの力が含まれてるみたいだ」
味方には回復、敵には目くらまし…その二つを同時にこなせるようになってるな。
「他は出来そう?」
「…いえ、少し…練習が必要ですね。後は、通常の転ばせる突風が前よりも強く出来そうです」
「わかった。次、キリお願い」
「おうよ!はぁぁぁっ…!」
鎌の刃が炎を纏い、切断された人形の断面を燃やす。火属性が乗ったか!
「いいぞ、キリ。他はどうかな」
「んー…どうかな。練習は必要だけど、できるかもしれないな。後は…これも出来そう、だっ!」
渦巻く風を纏わせた鎌を振るうと、暴風とともに人形がバラバラに切断された。
…いわゆる多段ヒットの状態か。
「さてと、残ったのはクスハだけど…」
「…見て、これ」
「…うおっ!?」
壺の中の薬が、禍々しい色に染まってるぞ!?
クスハは手にとっているけど…大丈夫なのか?
「…一応、あの人形につけてみてくれるか?」
「…ん、わかった」
ペタ、ジュゥゥゥゥッ!!
薬をつけた瞬間、すごい音を立てながら人形が溶けていく。怖いな!
「…怖いから、使うのはやめとく」
「うん、そうしといて…戻せる?」
「…うん、戻った」
壺の中は元通りの色になっていた。属性に応じた効果を持つ凶器に変わるとは…
「水属性にはできるかな?」
「…出来た。透明の水飴みたい」
「あ、本当だ…って、なんかうねうね動いてないか?」
「…私が思った通りに動かせるみたい」
「…すごいなぁ…」
検証の結果、一応…別属性は乗せられるが、練習が必要のようだ。それと、やっぱり闇属性はそのまま扱うには危険だな。クーや鎌鼬三姉妹には使用は自粛するように言っておいた。




