多重事故現場にて
「…ん、結構大きな事故があったみたいね。交通規制されているわ」
「あぁ、あの人たちの誘導でこっちを通ってるんですか…って、うわ…」
自動車が何台もぶつかり、ひしゃげていた。
白黒に赤い回転灯を付けた車と、白色でそれこそ箱のような形の…こちらもやはり赤い回転灯を付けた車がその側に止まっている。
「白黒の方がパトカーで、白だけの方が救急車ね。そうね…幻想郷で例えるとすれば…」
紫の例えをまとめると、パトカーは警備などの役割をする警察が主に扱う車で…救急車は怪我人などを病院へ運ぶためのものだという。
更に、ひしゃげていた車のうちの一台は一度に大勢の人間を運ぶためのバスという事も教えてくれた。
「わかったかしら?」
「はい。…ん?」
そのバスの近くで、軽い怪我をした少女が治療を受けていたのだが…違和感を感じた。
詳しく言うと、彼女にでは無く、『彼女の周辺に漂う気配』だ。
「うーん…?」
「さてと、規制された場所も過ぎたから流れが良くなるわね。それにしても…久しぶりに見たわね」
「あ、さっきの女の子の事ですか?」
「正確にはその周りのね。たまに居るのよ。こちら側にも、人を護ろうとする人外の存在っていうのは。…でも、今まで見た中でも一番強力だったかもしれないわ」
「そうなんですか…」
人を護ろうとする人外の存在。偶然ではあるけど、それを感じた事で…少ないながらも確かに外界にもそのような存在がいる事を確かめられたのは良かったのかもしれない。




