いざ、外界へと
そして翌日。
紫様のスキマを通り抜けると…洋風な部屋に出た。
「外界にある『外界での私』の家よ。…こちらで過ごす間は人間として過ごしているからね」
「そうなんですか?」
「その方が都合がいいのよ、移動も能力を使うと…いろいろとね」
「なるほど…」
…能力があるのを知られてしまうとまずいんだったか。幻想は幻想として存在していないと…幻想郷の存在意義が危うくなると聞いた気がする。
「さ、その格好だと目立つから、こちらでの服に着替えましょう。黄の服は…あの部屋のタンスに入れてあるわ」
「…そういえば、こちらでは僕の扱いはどんな感じになるんでしょうかね」
「んー…そうねぇ。私が経営する会社の社員、といった所ね」
「そうですか…って、会社の経営?」
「小さな会社の女社長、といった肩書きになっているわ」
「へー…」
「さ、さっさと選んで出かけましょ。…覗かないでね」
「恐れ多くてできる訳無いじゃないですか…」
「…ふふ」
紫様は部屋の中に入っていった。僕もさっさと服を選ぼう。
「んー…無難に落ち着いてるわね」
「色が多いのはなんとなく目立つような気がしたので」
「ま、いいけどね」
「…紫様も似合っていますよ」
「あら、ありがとう」
お世辞ではなく綺麗だった。普段の服とは違うだけなのに…なぜかドキドキする。
「顔が赤いわよ?」
「昨日の紫様ほどではないです」
「…もう!」




